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e-cancer:胃・大腸 免疫療法に抵抗性を示すがん患者に便微生物移植が影響を与えるか否かの第Ⅰ相試験評価

24 Dec 2020

便微生物移植による腸内マイクロバイオームの改変により、がん免疫療法がより効果的になるか否かを調査するファースト・イン・ヒューマン試験の1つにおいて、難治性メラノーマ患者10名でこれを分析した研究者らは、この療法で患者のアウトカムを改善できることを示唆している。

分析された患者10名のうち3名が陽性反応を示したという結果が、第Ⅰ相臨床試験から報告されている。

彼らの研究はある制限に注意すべきではあるものの、その発見は腸内細菌叢の調節により免疫療法への抵抗性を克服するという概念を支持すると著者は述べている。

PD-1阻害療法を受ける多くのがん患者はそれには反応せず、抵抗性を示している。

抗PD-1療法への抵抗性を克服するための最も有望な経路の1つは腸内マイクロバイオームを変化させることであり、それは前臨床マウスモデルおよび観察患者コホートにおける抗PD-1免疫療法に対する腫瘍の反応に影響を与えることが示されている。

一貫してこの反応を伴う特定の細菌分類群はないが、全腸内細菌叢をある宿主から別の宿主へと移植する便微生物移植(FMT)は、前臨床モデルで有望な結果を示した。

このデータに基づき、Erez N. Baruch氏とその同僚らは、以前に抗PD-1治療への抵抗性を増大させた10名の転移性メラノーマ患者に、FMTおよびその後の抗PD-1免疫療法の再開がどのように影響するかを評価する第Ⅰ相臨床試験を設計した。

移植材料は、抗PD-1療法に前向きな反応を1年間以上示した2名のメラノーマ患者(「ドナー1」または「ドナー2」)のうちの1名から採取したものである。

ドナー1またはドナー2からFMTを受けた後、腫瘍サイズが退縮し10名中3名の患者が後の抗PD-1治療に反応した。

著者のメモによると、3名全員がドナー1からFMTを受けたと述べている。

ドナー1のみから生じた陽性反応の理由は、この試験がドナー間の有効性を比較するためではなく、統計学的に安全性評価を目的としたものであるために明確ではないと、彼らは述べた。

結果は、特定の分類群とFMTに対する臨床反応との間に明確な関連性を提示しないとしても、FMTと抗PD-1療法の再誘導の併用を指摘し、「安全、実現可能および潜在的に有効である」とBaruch氏と同僚らは語っている。

https://ecancer.org/en/news/19250-phase-1-trial-assesses-whether-faecal-microbiota-transplant-impacts-cancer-patients-resistant-to-immunotherapy

(2020年12月10日公開)

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