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e-cancer:血液がん コレステロールの枯渇がリンパ腫細胞を死滅させる

03 Feb 2021

Northwestern Medicineの研究者らは、嗜好品 ― コレステロール ― をがん細胞が貪るようにトリックをしかけるという新たな治療法を開発した。これは実際にコレステロールの破壊を誘発する。

コレステロールを負荷した粒子に見せかけたそれは、実際にはがん細胞と結合して餓死させる合成ナノ粒子である。

この研究ではリンパ腫細胞に注目したが、研究者らはNorthwesternからの新たなこの治験薬は、腎臓がんや卵巣がんなど、コレステロールに対する類似の欲求を伴う他のがんにも効果的であると語る。

本研究は今月のJournal of Biological Chemistry誌で発表され、グループ別に発表されている先行研究に基づいている。

「細胞死の新たな機序を見出した我々の尽力により、臨床化がより身近なものとなることで、標準治療では奏効しないリンパ腫患者にこのアプローチを使用することができる。

これらのデータは、このような観察結果を他のコレステロール中毒に陥っているがん(卵巣がんおよび腎臓がんなど)まで広げるのに十分な論拠も示している」と共同連絡先著者であるノースウェスタン大学フェインバーグ医学校のAbby and John Friend基金の教授でありNorthwestern Medicineの医師であるDr. Leo I. Gordonは語る。

研究者らは、コレステロール代謝がターゲットのがん細胞において正常細胞とは全く異なることも証明していることから、この新たな治療法が作用する可能性がある。これは、治験薬が正常細胞を無傷のまま残しながら、選択的に脆弱ながん細胞を攻撃して死滅させることを可能にするものである。

悪性で、現在の治療法に反応しないリンパ腫の最大40%を治療するために、新たな治療法が緊急に必要とされている。また、細胞内でコレステロールの均衡を保つことに関与している本剤の標的であるSCARB1は、コレステロールに対して同様の欲求をもつ他のがん細胞にも存在する。
共同連絡先著者であるノースウェスタン大学泌尿器科学準教授のDr. C. Shad Thaxtonは、次のように述べている「我々の治療法は、コレステロールの取り込みに依存しているがん細胞をターゲットとし、細胞中のコレステロールの全体的な均衡を混乱させるものである。

細胞は生存し続けるために、必要となる経路を遮断することで埋め合わせようとすることを我々は見出した。この新しい機序が、他のタイプのがんをターゲットとする青写真となれば幸いである」

合成生物学的ナノ粒子による治療法は、がん細胞を標的にし、特に細胞のコレステロール代謝を変化させたうえで細胞を死滅させるというこの新しい方法のきっかけとなった最初の治療法である。

また、研究者らは、本剤がコレステロール代謝でがん細胞と同じ分裂をもたない正常細胞に対しては有毒ではないことを明らかにしている。

本研究においては、ノースウェスタンの研究者らがヒトがん細胞モデル、動物モデル、リンパ腫患者から得られたがん細胞での治験薬の有効性と、その作用の仕組みを示した。患者での第Ⅰ相臨床試験の申請に向けて、同グループは治験薬の開発を継続している。より大型の動物で研究を行うために本剤の生産を拡大するプロセスも開始されている。

https://ecancer.org/en/news/19530-cholesterol-starvation-kills-lymphoma-cells

(2021年1月28日公開)

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