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01 Nov 2023
人工知能(AI)は、すでに医療診断に広く使用されている。
MedUni Viennaの皮膚科医Harald Kittler氏が率いるオーストリアとオーストラリアの研究チームは、現実的な臨床シナリオにおいて、色素性皮膚病変の診断と治療にどの程度AIが役立つかを調査した。
The Lancet Digital Health誌に掲載された研究で、研究チームはスマートフォンアプリケーションの2つの異なるアルゴリズムの診断と治療推奨の精度を医師の精度と比較した。
その結果、AIアプリケーションは診断において概して良好な結果を示した。
しかし、治療の決定に関しては、医師の方が明らかに優れていた。
研究チームは、MedUni Vienna大学皮膚科とオーストラリアのSydney Melanoma Diagnostic Centreの2つの皮膚がんセンターで、現実的な臨床条件下でAIアプリケーションをテストした。
この前向き研究は2つのシナリオで構成され、シナリオAでは皮膚がんを疑う変化に対して、シナリオBではほくろの多い患者に対してAIが使用された。
AI支援アプリケーションは、専門医と経験の浅い医師の両方を対象に、両方のケースで比較された。
シナリオAでは、124人の患者で172個の疑わしい色素性病変(うち84個が悪性)が検査され、シナリオBでは、研究チームは66人の患者で5,696個の色素性病変(うち18個が悪性)を分析した。
2つの異なるAIベースのスマートフォンアプリケーションが使用された。新しい7クラスAIアルゴリズムと、遡及的予備研究ですでに使用されているISICアルゴリズムである。
シナリオAでは、7クラスAIアルゴリズムは専門医と比較して同等の診断精度を示したが、経験の浅い医師よりも有意に優れていた。
一方、ISICアルゴリズムは、専門医と比較してかなり悪い結果を示したが、経験の浅いユーザーよりは良好であった。
治療方針の決定に関しては、7クラスのアルゴリズムは専門医よりもかなり劣っていたが、経験の浅いユーザーよりは優れていた。
この結果は、皮膚がん診断のためのAI支援スマートフォンアプリケーションが、実際の臨床シナリオにおいて、専門医と同様の優れた診断決定を行うことを示唆している。
しかし、治療の決定に関しては、専門医はAIよりも優れていた。
Kittler氏:「AIアプリケーションは、専門医が行うよりも多くの良性病変を除外できる傾向がある。この点を考慮すれば、AIアプリケーションは確かに利用できる。また、もし無批判に使用すれば、多くの偽陽性所見を明らかにしなければならないことも念頭に置くべきである」
(2023年10月26日公開)