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e-cancer:脳腫瘍 スミレに含まれる環状ペプチドが膠芽腫の治療に役立つ可能性がある

07 Oct 2024

膠芽腫は最も深刻な脳疾患のひとつである。脳腫瘍の45%以上が神経膠腫である。

FDAが承認した化学療法であるテモゾロミド(TMZ)に反応するのは、膠芽腫患者の半数に過ぎない。

また、そのような患者であっても、がん細胞はすぐに耐性を獲得する。

ほとんどの患者は診断後12~16ヵ月で亡くなり、5年以上生存できる患者はほとんどいない。

今、患者にとっての希望の光が思いがけないところからやってきた。それが非営利研究機関であるBrain Chemistry Labs(ワイオミング州ジャクソンホール)の科学者らによるスミレに含まれる分子の研究である。

スミレはシクロチドと呼ばれるまばゆい小さな環状のペプチド群を産生する。

「それはまるで薄いフリスビーのような外観をしている」とSamantha L. Gerlach博士は述べた。「試験管実験でこれらのペプチドはある種のヒトがん細胞に対する活性があることがわかった」

シクロチドの形状を維持するジスルフィド架橋は、がん細胞の細胞膜に穴を開けるのを助ける可能性がある。

植物はシクロチドを産生することで草食昆虫による食害、真菌感染、ウイルス感染から身を守っている。

シクロチドはもともとアフリカの先住民が出産を円滑に進めるために使っていたハーブティーから発見された。

そのお茶は先住民がkalata-kalataと呼ぶ植物(種名:Oldenlandia affinis.)から作られていた。

Brain Chemistry Labsの科学者が率いる国際研究チームは先週、シクロチドであるkalata B1が化学療法薬TMZの活性を高め、膠芽腫細胞を死滅させるのに必要なTMZの量を10分の1以下に減少させることをスイスのbiomedicines誌に発表した。上席著者のGerlach博士らは、合成kalata B1が天然分子と同等の有効性を持つことを実証した。

「kalata B1はスミレ科の植物に多く含まれているが、植物から抽出できる量はごくわずかだ」とGerlach氏は述べている。「何カ月も昼夜を問わず抽出を続けたとしても植物から得られる量はごくわずかであり、臨床研究には不十分である」

そこで、科学者らはCSBio社(カリフォルニア)との共同研究で合成kalata B1を開発し、膠芽腫のマウスモデルで試験を行うのに十分な量を入手した。

合成kalata B1の構造と効果は天然に存在する分子とすべての点で同等であることが分かった。

California State University, Fresno校のKrish Krishnan博士は、核磁気共鳴(NMR)分光法を用いて合成した分子の形状と折り畳み(フォールディング)を確認した。

Brain Chemistry LabsのRachael Dunlop博士は、「今回の細胞データから、マウスモデルを使った合成成分の開発を進めることが可能であることが示唆された」と述べた。

次の段階のマウス実験は、オーストリアのウィーンで行われる予定である。

Brain Chemistry Labsの所長であるPaul Alan Cox博士は、合成kalata B1の誕生は大きな前進になりうるが、患者にとっての重要性についてはまだ多くを語れる段階ではないと考えている。

「臨床試験にはまだ長い道のりがあるが、安全性を判断するためのさらなる試験への道は開かれた」

 

https://ecancer.org/en/news/25399-circular-peptides-in-violets-may-aid-in-the-fight-against-glioblastoma

(2024年10月2日公開)

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