ニュース
19 Jun 2019
クリゾチニブは、ALK陽性非小細胞肺がん(ALK NSCLC)治療のために承認された最初の薬である。
それ以来、セリチニブ、アレクチニブ、およびbrigatinibを含む一連の次世代ALK阻害剤が、クリゾチニブによる治療後に第二選択療法としてFDAの承認を得た。
しかし、これらの次世代ALK阻害剤のそれぞれは一次治療にも使用可能である。そして、もしあるとすれば、別の次世代薬の治療後に投与した時、どれがなお有用かという重要な疑問が生じる。
米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会2019で発表されたAcademic Thoracic Oncology Medical Investigators’ Consortium(ATOMIC)による研究は、他の次世代ALKによる第一選択治療後、brigatnibで治療した患者20名において奏効率が40%だったことを示した(ASCOアブストラクト9027)。
ASCOで発表された患者104名を対象としたフランスの後ろ向き研究でも同様に、過去2回のALK阻害剤療法後にbrigatnibで治療した患者において奏効率が50%だったことが示された。
「Brigatinibは、クリゾチニブ投与後の使用がすでに承認されており、第一選択の設定においてクリゾチニブと比較して前向きなデータをすでに示している。一方、世界は動いており、そして今、私たちは次世代のALK阻害剤治療後にこの薬の活性を知る必要がある」と筆頭著者であるDuke Cancer CenterのTom Stinchcombe氏は述べた。
同僚の研究者には、University of Colorado Cancer CenterのLung Cancer Researchの主任研究者で共同研究者のD. Ross Camidge博士、およびCU Cancer Center ThoracicのディレクターであるRobert C. Doebele博士が含まれる。 Doebele氏は、ATOMIC試験で主要なバイオマーカー分析を行っているOncology Research Initiativeである。
「1件の小規模な研究では、brigatinibはこの状況では有効ではないと示唆されていた。おそらく、誰もがこれらの薬剤に同じように反応するわけではないからである」とDoebele氏は述べている。
「だから、われわれ自身のデータをみることは期待が持て、フランスのグループのデータは継続的な探査に値し、より勇気づけられる未来を描く」
全体的な奏効率を測定することに加えて、この研究はこの薬に敏感な患者の特徴を決定するのを助けるために詳細な分子分析を行う。
この研究はまた、次世代の第一世代ALK阻害剤による治療中に患者が体内または脳内のどちらで進行したのかを把握することもでき、研究者がbrigatinibが一方または他方の部位で進行している患者にとってより有用であり得るかどうかをより理解することを可能にした。
「肺がんは、時には脳内で、時には体内でなど、様々な方法で進行する。薬物が体内よりも脳内で活性が高い場合、または低い場合、患者が示す有効性はその進行部位によって異なる必要がある。これら二つのことを引き離すことによってのみ、薬物に反応する可能性について実際に誰かを正確に導くことができる」と、Camidge氏は述べる。氏は、最近、がん臨床試験中に体と脳で別々に薬の有効性を測定することを主張している神経腫瘍学ガイドラインで応答評価を定義するのを支援した。
現在の試験はまた、企業主導型臨床試験と共同臨床試験との間の中間点を占める新しい臨床試験コラボレーションフレームワークをうまく利用するATOMICグループの能力を示唆した。
「その中間点は、以前は単一の研究者が開始した臨床試験で、医師や研究者らが臨床研究のアイデアをかなり迅速にかつ安価にテストすることができた。しかし、とくに肺がんでは、その遺伝的構成によって定義される多くの小さな疾患サブタイプに細分化されているため、研究に十分な患者を得られないため、もう1つのサイトで多くの研究者主導の試験を行うことはできない。代わりに、研究者自身の臨床研究組織によってサポートされている複数のサイトにまたがって協力している複数の研究者を必要とし、それは私たちがATOMICと共に得たものである」と、Camidge氏は述べた。彼は、コンソーシアムを監督する。
https://ecancer.org/news/16104-asco-2019–40-50-percent-response-rate-for-brigatinib-after-other-next-gen-alk-inhibitors.php
(2019年5月31日公開)