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28 Jun 2019
NRG-LU001の最初の結果は、糖尿病治療薬メトホルミンは患者の忍容性はよかったが、局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)を有する試験参加者の無増悪生存期間(PFS)または全生存期間(OS)を明らかに改善しなかったことを示す。
これらの結果は地元のセンターが報告した結果に基づいている。
試験参加者は、状況の変化について引き続き追跡される。
これらの結果の最初の報告が、米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表され、そのアブストラクトは”Best of ASCO”を授与された。
「これまでの前臨床試験で、メトホルミンは放射線療法および化学療法に対するヒト非小細胞肺がん(NSCLC)モデルの反応を高めた」と、NRG-LU001 アブストラクトの筆頭著者である、McMaster UniversityのTheodoros Tsakiridis氏は述べた。
「前臨床データは、肺がん患者に恩恵をもたらす可能性を示唆した。そのため、メトホルミンが標準治療の化学療法および放射線療法で治療したstage IIIのNSCLC患者において実際に転帰を改善できるかどうか調べるためにNRG-LU001試験を進めた」
NRG-LU001では、患者は標準的な化学療法と放射線療法を単独で受けた対照群、または化学療法、放射線療法、そしてこれらの治療期間中に1日当たり2,000mgのメトホルミン投与を受けた実験群に無作為に割り当てられた。
この試験は、12か月のPFSが50%から65%へと15%改善、または同様に0.622のHRを検出するように設計された。
治療後、研究者らは参加者の生存転帰、毒性または副作用、局所進行までの時間(TTLRP)、および遠隔転移までの時間(TTDM)の変化を追跡した。
NRG-LU001は、予定されていた患者168名の登録と無作為化を完了した後、2016年12月に登録を停止した。
2群間で毒性の割合または等級に統計的に有意差はなく、メトホルミンが患者に十分に忍容性があったことを示した。
解析の時点で、地元のセンターは102のPFSイベントを報告した。
1年および2年PFS率は、対照群で60.4%(95%CI:48.5、70.4)および40.1%(95%CI:29.0、51.0)、メトホルミンによる実験的治療群では、51.3%(95%CI:39.8、61.7)および34.5%(95%CI:24.2、45.1)であった。
2年後のOSは、対照群で65.4%(95%CI:53.5、75.0)、実験群で64.9%(95%CI:53.1、74.5)であった(HR = 1.03(95%CI:0.64、1.68))。
死亡は、対照群の90%および実験群の71%で、肺がんによるものだった。
NRG−LU001のこれらの初期結果は、TTLRPとTTDMに関して治療群間に差がなかった。
「主要評価項目で治療群間に差が見られなかったのは残念たが、われわれはこの研究の両群において予想より良好なPFSおよびOS率を観察することを心から望んでいる」と、Tsakiridis氏と共に同治験の共同研究責任者であるUPMC Hillman Cancer CenterのHeath Skinner氏は述べた。
「われわれは、今回の臨床試験で収集した生物試料を含んだバイオマーカー研究と同様に、すべての症例の中央臨床および放射線学的レビューで二次解析を完了する予定である」
NRG-LU001の結果は、NRG-Oncologyなどの多施設環境において、世界で最も致命的ながんの1つであるNSCLCの継続的な調査の価値を明らかにしている。
(2019年6月3日公開)