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30 Oct 2019
6ヵ月間の臨床記述研究によると、頸部より下にできる悪性黒色腫(MM)よりも、頸部より上のMMのほうが、皮膚以外に転移する可能性が高いことが示唆されている。
本研究ではほとんどの患者のMMは進行が進んだ病期であったが、それでも身体の遠隔部位に腫瘍が広がる遠隔転移を生じている患者はひとりもいなかった。
さらに、頸部より下にMMを有する患者でリンパ節陽性を示したのは、わずか一人だった。
本研究はマドリッド(スペイン)で開催された第28回EADV(Europe Academy of Dermatorogy and Venereology)で発表された。
本研究では、新たにMMと診断された45人を6ヵ月にわたって調査し、頸部より上MMと頸部より下MMの2つの群に分けた。
本研究の目的は発生部位の観点から、どのタイプのMMが転移する可能性が高いかを検討することである。
研究者らはコンピューター断層撮影(CT)病期分類を用いて、腫瘍の様子と広がりを調査した。
T2aステージ以上の患者には疾患の転移を調査するため、センチネルリンパ生検(SLNB)を行った。
頸部より下のMM患者37人では遠隔転移を生じた患者はおらず、リンパ節陽性となったのは一人だけだった(2.7%)。
頸部より上のMM患者8人のうち、2人がリンパ節陽性で遠隔転移を生じていた(25%)。
つまり、頸部より下にできるMMよりも、頸部より上のMMのほうが皮膚以外に転移する可能性が高いことが本研究で示唆されている。
最も危険な皮膚がん
MMは皮膚がんの中で最も危険性が高く、特に若年者では一般的となりつつある。
ひとたびMMが皮膚の深部や身体の他の部位に深く広がると、治療困難となり致死的となる可能性がある。
加えて、黒色腫はBRAF V600遺伝子変異と関連している。
これらの変位はBFAFタンパクの生成に影響を与え、細胞の増殖を早める。
「これまでもBRAFにコードされた遺伝子変異はMMと関連があることが示されており、これは進行性腫瘍のある患者の管理を変革してきた。本研究は発生部位という観点から転移しやすいがんを検討するという新しいがん診断をレビューしたものである。発生部位に関するより深い理解が進むことで、患者の生存に関する決定や管理に役立つ可能性があるだろう」と本研究を率いたDr. Mohammed Al AbadieはEADV年次総会で述べた。
(2019年10月11日公開)
https://ecancer.org/en/news/16749-skin-cancer-above-the-neck-more-likely-to-spread