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28 Nov 2019
スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究者らは、脳腫瘍の膠芽腫に対する10の腫瘍特異的潜在的薬物標的を特定した。
本研究結果は、科学雑誌Cell Reports誌に掲載されている。
「われわれは、腫瘍血管を覆う細胞、いわゆる内皮細胞に疾患関連の変化を見出した。これは長い間がん治療の臨床的ターゲットと考えられてきた」と、本研究を主導したカロリンスカ研究所の外科および分子医学科の助教授であるLynn Butler氏は述べている。
「腫瘍血管の内皮細胞でのみ発現するタンパク質は、正常な脳に影響を与えることなく、腫瘍の血液供給を攻撃したり、治療薬を送達したりするための標的として使用できる」
人体には200種類以上の細胞タイプがあり、それぞれが独自の役割を果たしている。
これらの細胞タイプの違いを理解することは、臓器がどのように機能し、細胞が病気でどのように変化するかを理解するのに役立つ。
細胞の同一性は、発現した特定のタンパク質によって決まる。これは、細胞内で見つかったタンパク質転写物を測定することで予測できる。
本研究のために、研究者らはヒトの脳組織と膠芽腫のサンプルを分析した。膠芽腫は非常に高い死亡率を伴う治癒困難な病である。
特定の細胞タイプの特性に関心がある場合、ヒトの脳組織全体からの転写物に関する既存データの有用性は限られている。これらのサンプルには、多くの異なる脳細胞タイプが含まれているためである。
現在、研究者らはこのデータを処理し、特定の種類の脳細胞でのみ発現する転写物を特定する新たな方法を開発した。
この方法は、細胞タイプの特性を定義するのに役立つだけでなく、正常組織と病変組織の細胞タイプのプロファイルを直接比較するのにも役立つ。
研究者らは、この方法を使用して、正常な脳組織の血管系にはみられない10の新たな膠芽腫の特異的内皮細胞転写物を予測した。
「これらのマーカーは、神経膠芽腫の生物学への洞察を提供し、治療の潜在的な腫瘍特異的標的を示すことが可能である」とLynn Butler氏は述べている。
https://ecancer.org/en/news/16894-potential-drug-targets-for-glioblastoma-identified
(2019年11月6日公開)