ニュース
31 Jan 2020
Science誌によると、Peter Doherty Institute for Infection and Immunity (Doherty 研究所)、オリビア・ニュートン・ジョンがん研究所およびCSL社の研究チームは、研究者を25年間悩ませてきたガンマデルタT細胞を活性化するための突破口を見つけたと述べている。
本研究は、Doherty研究所の研究員でもあるメルボルン大学のMarc Rigau PhD.、同研究所の上級研究員であるDr. Adam Uldrich、同研究所の研究所長であるDale Godfrey教授、オリビア・ニュートン・ジョンがん研究所の研究室長Dr. Andreas Behrenが共同で行った。
Uldrich氏は、ガンマデルタT細胞は、細菌やがん細胞によって産生されるリン酸化抗原という小分子の存在に反応することが知られていると説明した。
「リン酸化抗原によって、これらのガンマデルタT細胞が活性化し、異常な細胞が根絶する」
Godfrey氏は、「これまで研究者は、ガンマデルタT細胞がどのようにリン酸化抗原を検出するのかという基本的な疑問を理解するのに苦労してきた」と述べた。
「ガンマデルタT細胞の表面にはT細胞受容体と呼ばれる分子があり、がん細胞を含む全身の多くの異なる細胞型に存在するブチロフィリン2A1と呼ばれる別の分子に結合することがわかった」
Behren氏によると、「これらの発見は、人体を病気から守るためにガンマデルタT細胞がどのように機能するかを理解する重要な進歩である」という。
「研究チームは、この突破口が最終的に、がんや感染症に罹患した世界中の何百万人もの人々のための新たに改善された免疫療法の開発につながると信じている」
本研究は、Doherty研究所、オリビア・ニュートン・ジョンがん研究所、CSL 社の共同研究の結果である。
「この研究プロジェクトは、学界と産業界のコラボレーションの成果を示している。10年近く前、我々はブチロフィリン2A1を潜在的な治療標的として特定したが、その正確な生物学的機能はとらえどころがなかった」と論文の著者でありCSL社の分子生物学シニアディレクターDr. Con Panousisは述べた。
「本研究結果は、ガンマデルタT細胞の機能の理解に大きく貢献し、この研究を重大なヒト疾患の治療のための新しい免疫療法として転用するための道を拓いている」
共同研究者らは本研究の発見に関する特許を申請した。
(2020年1月10日公開)