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27 Mar 2020
新たな研究によって、疾患予防の取り組みが進歩したにもかかわらず、世界中で肝癌の発症率が上昇していることが明らかになった。
調査結果は、American Cancer Society(ACS)の査読付きジャーナルであるCANCER誌オンライン版に公開されている。
年齢、性別、地域、および原因による肝癌の傾向と予測を収集するため、中国復旦大学のXingdong Chen、MD、PhDらは、195の国と地域の疾患の負担を調査したGlobal Burden of Disease Studyの1990~2017年のデータを検討した。
世界的には、30歳までに肝癌と診断された人数は、1990年の17,381名から2017年の14,661名に減少していた。しかし、30~59歳と60歳以上では、1990年には216,561名と241,189名だったが、2017年には359,770名と578,344名にそれぞれ増加した。
(母集団の年齢プロファイルが異なる場合に母集団を比較できるよう)年齢を調整した結果、年齢が30歳以下および30~59歳では男女とも肝癌と診断された割合は減少していた。一方、高齢者では男性の肝癌発症率が増加しており、女性は一定していた。
女性に比べ、男性は60歳以上で肝癌と診断される人が急増し、30~59歳で診断される症例数は緩やかに減少していた。
若年成人でみられた肝癌診断数の減少は、主にB型肝炎ワクチン接種によるものであり(B型肝炎ウイルスが肝癌を引き起こす可能性があるため)、性別や年齢に関係なく肝癌発症率が上昇した先進国を除いて、ほとんどの地域で一貫していた。非アルコール性脂肪性肝疾患または肝臓での脂肪の蓄積によって引き起こされる肝癌は、ほとんどの地域で最も増加率が大きかった。
「本研究から、現在の肝癌予防の取り組みにおいて高齢者に対する注意が不足していることを示唆しており、肝癌の危険因子として肥満が新たな懸念となっていることを浮き彫りにしている」とチェン博士は述べた。 「発展途上国と先進国の両方で、肝癌予防戦略を調整し、更新するべきである」
https://ecancer.org/en/news/17517-study-uncovers-increasing-global-rates-of-liver-cancer
(2020年3月23日公開)