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e-cancer:乳がん マンモグラフィスクリーニングは高齢者の命も救う

29 Oct 2020

胸部のX線撮影であるマンモグラフィは70歳を過ぎた女性にも有効である。

70歳を過ぎた女性に定期的なマンモグラフィスクリーニングを受けるよう勧めたところ、死亡率が有意に低下した。

これは、スウェーデンで新たに実施された大規模試験から得られた結果である。

「この結果は、マンモグラフィスクリーニングの年齢制限を74歳に設定しているスウェーデンの評価が正当であることを裏付けるものである」とDepartment of Epidemiology and Global Health at Umeå University(ウメオ大学疫学およびグローバルヘルス学部)のHakan Jonsson(ホーコン・ジョンソン)講師は語る。

この新しいスウェーデンの研究は、20年にわたる追跡調査の2,000例を超える乳がん死亡例のデータに基づき構築された。

女性にマンモグラフィを勧める対象年齢の上限を70~74歳に設定すると、上限を69歳までとした場合に比べ、乳がん死亡率が20%低下することが明らかになった。

スクリーニングに実際に参加した女性の死亡率の低下は、実に27%であった。

マンモグラフィスクリーニングについては、多数の無作為化対照試験が多数実施され(スウェーデンでも複数件実施された)有効性を示す結果が得られた後の1980年代後期に導入された。

しかしながら、対象とすべき年齢層に関しては、これまでに不確実性が指摘されていた。

その結果、各国でさまざまな評価が行われており、その推奨事項も多様であった。

現在では、ほとんどの国がスクリーニングを69歳までの女性に対して行っているが、スウェーデンを含む一部の国では上限年齢を74歳に設定することを選択している。

スウェーデンでは、スクリーニング事業を地方に分散させていることから、74歳という年齢制限は、国のさまざまな地域の各拠点で導入されている。

このことは、特にSwedish National Board of Health and Welfare(スウェーデン全国衛生および福祉局)からの早期推奨事項として、69歳という年齢制限を地域単位で除外することを可能にしていた。

本研究では、1986~2012年のスウェーデン国内の複数地域の女性の乳がん死亡率について、年齢制限を74歳とした地域と69歳とした地域間で比較した。

Cancer Register(がん登録簿)を使用して乳がんの診断を受けた70~74歳の女性を特定し、National Cause of Death Register(全国死因登録簿)を使用して70~89歳で乳がんが原因で死亡した女性の死因に関するデータを取得した。

死因は、特に高齢女性の場合には、判定が困難となることがある。

したがって、乳がん症例の超過死亡は、主たる死因に関連して判断した。

「寿命が延びて老年期も活発に過ごせるようになっていることを考慮すると、がんのスクリーニングを行うことは、適時に治療を開始するためにも価値がある」とHakan Jonsson氏は語る。

ほとんどの無作為化対照試験は、約40年前に実施されたものである。

それらの試験で70~74歳の女性を対象に組み入れた試験はわずか1件であった。

しかもその群は、明確なエビデンスを示すにはあまりにも小規模であった。

この年齢の女性にスクリーニングの受診を勧めている国がほとんどない中で、この年齢層を対象とした観察研究はまれである。

これは、70~74歳の女性におけるマンモグラフィの重要性のエビデンスがこれまで不足していたことも意味している。

https://ecancer.org/en/news/18901-mammography-screening-saves-lives-also-in-older-age

2020年10月21日公開

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