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23 Mar 2021
Massachusetts General Hospital(MGH)と米国およびオランダのセンターの研究者らは、心臓病のリスクを下げることに加えて、心臓によいライフスタイルを維持することで、がんの発症リスクを下げることが可能なことを発見した。
MGH心臓病学部のEmily S. Lau氏、Jennifer E. Hoto氏、そして著者らは、2つの大規模な人口ベースの健康調査で参加者の心血管疾患(CVD)とがんとの潜在的な関連性を調べ、高齢、男性、喫煙者または喫煙歴など、CVDの従来の危険因子はすべて、がんの発症リスクの増加と独立して関連していることを発見した。
さらに、彼らはまた、参加者のナトリウム利尿ペプチド(心臓へのストレスのマーカー)レベルの上昇がより高いがんリスクを予測したことを発見した。
研究前にすでに心臓病の病歴があるか、研究参加後に心臓発作や心不全などの心血管イベントを経験した参加者が、がんの発症リスクが高いことは不明であったが、研究開始時に心血管の状態が理想的だった参加者は 将来のがんリスクが低いと、研究者らはJACC:CardioOncology誌で報告した。
「心臓によいライフスタイルとがんリスクの低下との間に関連性があることがわかった。そして、それは反対のことが当てはまる。心臓によくないライフスタイルだと、がんのリスクも高くなるが、本疫学研究では原因があることを証明することはできない」と、Lau氏は述べる。
Lau氏らは、2つの大規模なコミュニティベースの長期健康調査であるFramingham Heart StudyとPrevention of Renal and Vascular End-Stage Disease(PREVEND)調査の20,305人の参加者のデータを評価した。
参加者は、研究開始時にはがんではなかった。
データには、研究の過程で発生し、実験室で証明されたがん、研究開始時のCVDリスク因子(肥満、糖尿病、高コレステロール、高血圧を含む)、10年間のアテローム性動脈硬化症(ASCVD)によって測定された心血管リスクに関する情報、リスクスコア、自然発生する物質であるナトリウム利尿ペプチドや心臓トロポニンなどのCVDの確立された診断マーカー、研究開始時のCVD、および米国心臓協会(AHA)Life’s Simple 7心血管健康スコア、患者の報告による心臓健康のライフスタイルの手段が含まれていた。
研究者らは、年齢、性別、喫煙状態などの従来のCVDリスク要因がそれぞれがんに関連していることを発見した。
さらに、推定10年ASCVDリスクスコアが5%増加するごとに、がんリスクが16%増加し、さらに、ナトリウム利尿ペプチドレベルの最高3分の1にあった参加者は、最低3分の1の参加者よりもがん発症リスクが40%高かった。
ベースラインでCVDだった参加者、および研究期間中に心臓発作や脳卒中などの心血管イベントを発症した参加者は、その後のがんリスクは高くなかったが、研究開始時にAHAの推奨事項(血圧の管理、コレステロールの管理、血糖値を下げる、活動的になる、よりよく食べる、体重を減らす、喫煙をやめる))を最も厳密に遵守した参加者は、将来のがんリスクが低かった。
https://ecancer.org/en/news/19837-heart-healthy-lifestyles-linked-to-lower-risk-of-future-cancers
(2021年3月16日公開)