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24 May 2021
オレゴン州立大学の研究者チームは、肝臓および乳がんの細胞を効果的に殺傷する新しいクラスの抗がん化合物を発見した。
Apoptosis誌に最近発表された調査結果は、AhR調節転写(SMAhRT)の選択されたモジュレーターの発見と特性評価について解説している。
Edmond Francis O’Donnell IIIとOSU研究者のチームは、オレゴン州のがん研究者であるSiva Kolluri教授の研究室で研究を実施した。彼らはまた、抗がん剤開発のための新しい分子標的として、アリール炭化水素受容体(AhR)を特定した。
「我々の研究は、特定のがんの治療のための新しい分子標的を介して作用する治療の手がかりを特定した」とKolluri氏は述べた。
O’Donnell氏はさらに「これは、AhRを介して作用する新しいクラスの抗がん剤の基礎を築く刺激的な開発である」と付け加えた。
研究者らは、2つの分子スクリーニング技術を使用して潜在的なSMAhRTを発見し、AhRシグナル伝達を活性化して、肝臓および乳がん細胞を殺傷する分子(CGS-15943として知られる)を特定した。
具体的には、肝がんの一般的なタイプであるヒト肝細胞がんの細胞と、乳がん全体の約15%を占め、予後が最も悪いリプルネガティブ乳がんの細胞を調べた。
「これら2種類のがんは治療が難しく、治療の選択肢が限られているため、これに焦点を当てた」と、農学部環境分子毒性学科のKolluri氏は述べている。「これらは無関係のがんであり、AhRを標的とすることは別個のがんの両方の細胞死を誘発するのに効果的だったため、この結果に勇気づけられた」
研究者らはまた、CGS-15943の抗がん作用に寄与するAhRを介した経路を特定した。がんの治療法を開発するには、それらがどのように作用して抗がん効果を誘発するかを詳細に理解する必要がある。研究者らは、CGS-15943がAhRを介してFasリガンドと呼ばれるタンパク質の発現を増加させ、がん細胞死を引き起こすことを確認した。
これらの結果は、医薬品開発に刺激的な新たな手掛かりを提供するが、このような結果に基づくヒトへの治療法は、患者が利用するには何年間もかかるだろうと研究者らは述べている。
(2021年5月12日公開)