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01 Jun 2021
特定の抗がん療法は細胞の老化を早め、患者のDNA の変化が炎症や疲労の増大に関与している可能性があることが新たな研究により示された。
本研究結果は、American Cancer Societyの査読付きジャーナルCANCER誌にオンライン版としてWileyにより発表されている。
遺伝子活性は、エピジェネティックな変化、あるいは根本的なDNAの塩基配列を変えることには関与しないDNAに対する物理的な修飾を通して、生涯にわたりしばしば調整される。
人によっては、年齢が同一の者に比べて加齢に関する条件のリスクが高くなり、エピジェネティックな年齢加速(EAA)を経験する可能性がある。最近、研究者らはがん治療中および治療後のEAAの変化を調べたところ、頭頸部がん(HNC)患者において、その変化と疲労との間に潜在的な関連を見出した。
HNC患者133例を対象としたこの研究では、患者の半数は、いずれかの時点で重度の疲労を経験した。放射線療法の直後に、エピジェネティックな年齢平均値が4.9歳分加速した場合に、EAAは最も顕著であった。EAAの上昇は疲労度の上昇と関連し、重度の疲労を感じる患者は疲労感が低い患者よりEAAが3.1歳分高かった。
また、炎症のマーカー値が高い患者も、EAAが約5歳分高く、疲労に対するEAAの影響の大部分は炎症が原因であるようと思われた。
筆頭著者であるEmory University School of Nursing, in AtlantaのCanhua Xiao, PhD, RN, FAANは次のように述べている。「HNC患者の抗がん治療から生じる長期的な毒性とおそらく死亡率の上昇がEAAの上昇とその炎症との関連性と結びつく可能性があることを示唆する一連のエビデンスに、我々の所見を追記する。今後の研究では、患者におけるEAA、疲労、および持続的な炎症の高値が原因となり得る脆弱性について検討する」
著者らは、がん治療前の処置を含め炎症を抑える介入こそが、老化現象の減速やその後の疲労などの加齢関連の慢性的な健康問題の軽減を通して、患者にベネフィットをもたらす可能性があると指摘した。
付随論説は、がん治療を受けている患者の慢性疲労は単なる症状ではなく、患者の健康に影響する重要な役割を果たす可能性がある点を強調している。
https://ecancer.org/en/news/20337-cancer-treatments-may-accelerate-cellular-ageing
(2021年5月24日公開)