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e-cancer:消化器がん 肝がんに進行するNASHでは食事が重要な役割を果たす ― マウスモデル研究

04 Jun 2021

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、世界中で最も一般的な慢性肝疾患の原因である。NAFLD患者は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発症するリスクが上昇している。NASHは、重症の慢性肝炎、線維化および肝障害を引き起こす。

NASH患者は肝がんの一種である肝細胞がん(HCC)の発症リスクが高いと考えられている。
生活習慣改善のための介入を除き、現在、承認されているNASHの治療法はない。 ときに、肝移植が唯一の治療法となる。

NASHのリスク要因(肥満、2型糖尿病、PNPLA3などの遺伝子変異)やHCCのリスク要因(B型肝炎およびC型肝炎、アルコールの過剰摂取、肝硬変)はよく知られているが、単純な脂肪肝が慢性炎症、肝線維化、NASHやHCCを引き起こす機序は不明である。

University of California San Diego School of Medicineの研究者らによる最新の研究によると、マウスモデルにカロリーや脂肪およびコレステロールに富んだ西洋食を与えたところ、マウスは次第に肥満や糖尿病になり、NASHを発症した。NASHはHCCや慢性腎臓病および心血管疾患に進行する可能性がある。
Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版で発表された研究結果によると、マウスモデルに与えていた西洋食を、脂肪ではなくタンパク質と炭水化物によるエネルギー源であり、コレステロールを含有しない通常の固形飼料に変更しただけで、NASHと肝線維化が改善し、がんへの進行および死亡を予防した。
「西洋食を継続したマウスはHCCを発症し、死亡リスクが増加したが、西洋食を中止したマウスの100%がHCCを発症することなく研究期間中生存していた」と、本研究の共同上席著者でUC San Diego School of Medicine消化器内科の助教であるDebanjan Dhar, PhDは述べた。

「本知見は、NASHとHCCが予防可能な疾患である可能性と、食事が疾患転帰に重要な役割を果たしていることを示している」
西洋食を中止したマウスでは、肝脂肪が減少し、また糖負荷試験数値(糖尿病の指標)の改善が見られ、NASHによる影響を受けたいくつかの遺伝子とサイトカインは正常値になり機能も正常に戻った。さらに、Dhar氏らは、肝疾患の進行を調節する腸内微生物叢の重要な変化を発見した。

「NASHは肝疾患ではあるが、我々の知見はNASHの発症と進行には複数の臓器が影響を与えていることを示している」
研究者によると、驚くべき発見は、NASHマウスの西洋食を通常の固形飼料に切り替えた際、体重ではなく肝臓により顕著な影響がみられたことである。

「これは、肝臓のわずかな変化が疾患転帰に重大な影響を与えうることを意味している」と、共同上席著者でUC San Diego Health Sciencesのvice chancellorであるDavid Brenner, MDは述べた。
研究者らはまた、マウスモデルの発見をヒト患者のデータセットと比較し、マウスの肝臓における遺伝子発現の変化がヒトの肝臓でも同様にみられることを明らかにした。

「本研究の動物モデルは、現在開発中の薬剤の安全性と有効性を研究するための重要な前臨床試験プラットフォームを提供し、また、他の疾患に対してすでにFDAが承認している他の薬剤の転用可能性を検討するものである」とDhar氏は述べた。

https://ecancer.org/en/news/20382-diet-plays-critical-role-in-nash-progressing-to-liver-cancer-in-mouse-model
(2021年6月2日公開)

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