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03 Aug 2021
新研究によると、後期腎臓がんの初期段階で既存薬を使用すると、がんの再発リスクを3分の1に減らす可能性がある。
第III相試験の結果は、European Association of Urology congress (EAU21)で発表される。
腫瘍切除の術後、腎臓がんの再発リスクは高いが、現在、これを防ぐための治療法はない。
KEYNOTE研究には、手術を受けた1,000名弱の腎臓がん患者が参加した。 その半分は免疫療法薬ペムブロリズマブ(ペンブロ)を、残りの半分はプラセボを投与された。
ペンブロは、病気がほかの臓器に広がっている後期腎臓がんを含む多くのがんを治療するために使用される。
この薬が病気の初期段階で患者に使用されたのは、20か国での国際試験が初めてだった。
研究チームは、2年間で、ペンブロの服用患者は、プラセボの服用患者に比べて、病気が再発する可能性が3分の1低くなったことを発見した。
5年生存率に対する治療の影響を判断するために、患者のフォローアップが継続されている。
この研究はまた、薬の副作用ががん治療で通常予想されるものと同様であることを示した。
この研究の共同研究者であるロンドンのQueen Mary UniversityのBarts Cancer InstituteのThomas Powles教授は、次のように述べている。
「この試験の初期のデータは非常に有望であり、ペンブロ群では病気の再発が明らかに減少している。この薬が生存率を改善する可能性があるという兆候もあるが、今後数年間はそれを確信できない。この試験が完了する時には、この薬の使用が医薬品規制当局により承認される強力な例になることを願っている」
進行性膀胱がんに有望な併用免疫療法
Powles教授は、EAU21で別の試験からのさらなる知見を発表している。これには、既存のがん免疫療法薬の新しい使用法も含まれる。
DANUBE研究では、膀胱がんがすでに体のほかの部分に広がっている後期膀胱がんの患者を対象に、デュルバルマブについて調べた。 デュルバルマブは、とくに米国で肺がんの治療法として広く使用されている。
1,000名以上の患者が試験に採用され、患者の各3分の1がデュルバルマブ、新しい免疫療法薬であるトレメリムマブと組み合わせたデュルバルマブ、標準的な化学療法を受けた。
全体として、標準的な化学療法に比べて、免疫療法薬による生存率の増加はなかった。
ただし、予備解析では、一部の患者[特定のバイオマーカー(PD-L1)のレベルが上昇し、化学療法薬シスプラチンの対象とならなかった患者]では、トレミリムマブの追加によりデュルバルマブの活性が増加した。
Powles教授は次のように述べている。「この臨床状況では、デュルバルマブを他の承認された免疫療法と比較していないが、免疫療法の新しい組み合わせは、より詳しい調査を必要とする新たな裏付けを示唆した」
現在、シスプラチンを投与できない高レベルのLD-P1バイオマーカーを有する患者を対象に、後期膀胱がんと早期膀胱がんの両方で、既存の免疫療法治療に対してデュルバルマブとトレメリムマブを検査する2つの大規模ランダム化比較試験が進行中である。 最初の試験結果は今年後半に報告される予定である一方、ほかの試験はまだ募集をしている。
(2021年7月11日公開)