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08 Sep 2021
このCOVID-19パンデミック期間中、米国の低所得者層に医療を提供する32のコミュニティ医療施設内で、50〜74歳の女性の乳がん検診率(BCSR)が減少したことが新たな研究で明らかとなった。
CANCER誌に掲載されている報告によると、低所得者層のコミュニティクリニックで乳がん検診率が2018年7月~2019年の18%増加であったのに逆行して、2019年7月~2020年までに8%減少したことを示唆している。
これは、このパンデミック期間中の低所得者層のBCSRを調査した初めての研究のうちの一つである。米国がん協会(ACS)のStacey Fedewa博士が率いる治験責任医師団は、有色人種および低所得者層コミュニティに医療を提供し、現地BCSR向上のためにACSから助成金を受けた32のコミュニティ医療施設のBCSRを調査した。
「これらの集団は、長年にわたる医療の利用を妨げる障壁、低い乳がん検診率、乳がんによる高死亡率を抱えており、特に医療の混乱による影響を受けやすいため、本研究は重要である」とFedewa医師は述べた。
この調査によると、2020年に実際には49.6%の女性が乳がん検診を受診したことに対し、2018~2019年のBCSR傾向が2020年まで継続していた場合には、63.3%の女性が検診を受けたであろうという結果を示した。このデータは、マンモグラムが実際にはさらに47,517件受診ができた可能性があり、242件の乳がん診断を見逃した可能性があることを意味する。
このマイナスの結果がどのように分布し、乳がん死亡率の差異が広がるかどうかはまだ分かっていない。また、本研究に含まれたクリニックは乳がん検診率向上のためにナショナル・フットボール・リーグによりACS助成金を受けており、乳がん検診業務が全国のコミュニティ医療施設でどのような状況であったのかもまだ分かっていない。
2020年以前、および2020年まで継続された介入により、乳がん検診サービスに及ぼしたパンデミックの影響で軽減された可能性があると著者らは指摘している。
「すでに医療の利用に障壁があり、乳がん死亡率が高い低所得者層コミュニティに医療を提供するクリニックにおいて乳がん検診率が低下しているということは、検診を必要としている女性を支援する追加政策、およびそれらの女性を特定する資金が必要であるということを意味している」と著者は述べている。
「コミュニティおよびクリニックが医療を提供するコミュニティにおいて、パンデミック以前の乳がん検診率に戻ることを目指すには、これらの活動が極めて重要になるであろう」
(2021年8月26日公開)