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04 Oct 2021
喫煙や加齢に関する変化により引き起こされる可能性が高い血液細胞内の突然変異は、免疫細胞に影響を及ぼす、まれな種類の血液がんの原因となる可能性があるという研究が、eLifeで現在公開されている。
この発見は、希少な血液がんの診断、治療または予防、そして他の種類の血液がんを発症する可能性のある患者を特定するための新たな方法につながる可能性がある。
末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)および血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)は、免疫T細胞に影響を及ぼす2種類のまれながんである。
「AITLは非常に侵襲性が高くなることがあり、診断後5年以上生存する患者はわずか3分の1ほどである」と述べるのは筆頭著者であり、米国ニューヨーク州Weill Cornell医科大学病理および臨床検査医学部の上級研究教授でもあるShuhua Cheng氏である。「AITLとPTCLに対する最も効果的な治療を開発するには、その原因をもっと知る必要がある」
Cheng氏のチームは、これらのT細胞腫瘍、および一部の患者における二次がんにつながる可能性がある遺伝子変化を調査するために、AITLまたはPTCL患者27名の537遺伝子を分析に、次世代ゲノムシークエンシングを用いた。
彼らは、患者の約70%に骨髄の前駆細胞、おそらく幹細胞内に突然変異があり、それがこれらの変異を伴う血液細胞の増殖を生み出し、T細胞腫瘍の初期発生の原因となる可能性があるということを発見した。
前駆細胞内のこれらの突然変異は、加齢に関連しているものと考えられている。
さらに、これらの腫瘍の進行を伴う突然変異は喫煙または受動喫煙に関連している可能性があることを、研究チームは明らかにした。
これにより、禁煙または副流煙を避けることが、これらのT細胞腫瘍の発症予防に有益な効果をもたらす可能性が示唆された。
彼らはまた、これらの腫瘍の初期発生遺伝子の一つにより多くの遺伝子変異数を持つ患者は、さらに別の種類の腫瘍が発生するリスクが高いということも発見した。
「我々の研究結果により、喫煙への曝露がある特定のT細胞がんを発生させる原因となる血液前駆細胞内の初期変異とどのように関連している可能性があるかについて、新情報が明らかになった」と述べるのは、Weill Cornell医科大学病理および臨床検査医学教授、上席著者でもあるWayne Tam氏である。「この発見は、二次性腫瘍発現のリスクが最も高いAITLまたはPTCL患者の新たな特定方法の可能性を示唆し、また、研究者や臨床医がこれらのがんを予防、診断、治療方法を改善するのにも貢献する」
(2021年9月29日公開)