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04 Nov 2021
CMAJ(Canadian Medical Association Journal)誌で報告された新たな研究によると、非メラノーマ皮膚がんである基底細胞がんと有棘細胞がんは、2003~2017年にオンタリオ州で30%増加し、特に35歳未満の人で増加した。
角化細胞由来の悪性腫瘍である基底細胞がんと有棘細胞がんは、カナダで最もよくみられる悪性腫瘍であり、死亡率は低いものの重大な疾患を引き起こし、生活の質に影響を及ぼす。
これらの一般的ながんの疫学をよりよく理解し、公衆衛生および医療サービスに情報を提供するために、研究者は20年間の角化細胞由来の悪性腫瘍に関するICESからのデータを解析した。
研究の結果、調査期間の初期にあたる1998~2003年にはこれらのがん発生率は低下し、その後逆転して残りの14年間で30%上昇したことが分かった。
1998年には10万人あたり6.39人だった年間死亡率は、2017年には30.53人とほぼ5倍に増加し、男性の死亡率は女性の約1.8倍に上った。ほとんどの死亡は65歳以上の成人で発生した。
著者らは、調査期間の初期に死亡率の低下がみられたのは1980年代と1990年代の皮膚がん予防キャンペーンによるものであり、その後の上昇は日焼けベッドやその他の行動の流行に関連している可能性があることを示唆した。
年齢層別解析では、45〜64歳の女性における発生率が同年齢の男性の発生率を上回っており、年間の新規発生率は35歳未満の成人で最も高かった。
「本調査結果は、性差の評価に際し、年齢も層別化する重要性を浮き彫りにしている」と、オンタリオ州トロントのWomen’s College HospitalおよびUniversity of TorontoのAn-WenChan教授らは記している。
また、若年男女での発生率が高い要因は行動に起因する可能性がある。
「エビデンスによると、男性は屋外での職業に従事している可能性が高く、日焼け予防のための対策を取る傾向が少なかった。また、女性は日焼けベッドや太陽光による日焼けをしようとする可能性が高いことを示唆している」と著者は記している。
日光曝露は若い女性で最も多くみられ、年齢とともに減少する。また、女性は皮膚検査を受ける可能性が高いため、男性よりも早期診断につながっている可能性がある。
「特に若い女性における角化細胞由来の悪性腫瘍の発生率の上昇と不均衡な死亡率の上昇が懸念されている」と著者らは述べた。
著者らは、これらのがん予防のための行動を促進し、また、早期診断を奨励するため、さらなる研究と新たな公衆衛生の取り組みが必要であると強調した。
https://ecancer.org/en/news/21019-non-melanoma-skin-cancers-increased-30-over-15-years-in-ontario-canada
(2021年10月4日公開)