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24 Feb 2022
UCLA Jonsson Comprehensive Cancer Centerが現在実施中の第III相試験における中間解析によると、前立腺がんに対する高線量放射線治療を正確に行うために磁気共鳴画像(MRI)を使用すると、治療に伴う副作用が減少することが示された。
この研究成果は、カリフォルニア州サンフランシスコで開催される2022 ASCO Genitourinary (GU) Cancers Symposiumで発表される。
高線量定位放射線治療(SBRT)などの高度な放射線技術は、周辺組織を温存しながら腫瘍への高線量照射の機会を提供する。
臨床医はしばしばコンピュータ断層撮影(CT)を使用して、線量を正確に照射することを確認する。
MRIは、造影能力の向上により放射線に必要な計画マージンを積極的に減らすことができるなど、前立腺がんに対するSBRTのガイドとしてCTよりも理論的に優れている点がいくつかある。
今回の研究では、限局性前立腺がんに対してSBRTを受ける男性をCTガイドまたはMRIガイドのいずれかに無作為に割り付けた。
研究者らは、治療後90日間に毒性と呼ばれる重篤な副作用がどの程度の頻度で発生するかを比較する計画を立てた。
研究者らは、MRIガイドの有用性を検出するために300名の患者登録が必要と考えていたが、この仮説が正しいか、あるいは登録する患者数がもっと少ないかを確認するために、患者100名の治療後のデータを分析する予定だった。
この最初の患者100名の分析では、MRIガイドを受けた男性は、頻尿、排尿時の灼熱感、血尿、尿失禁などグレード2の泌尿器系毒性が半分以下(22% vs 47%)であることがわかった。
また、CTガイドを受けた男性のかなりの割合が下痢、おりもの、直腸・腹部痛、腹部膨満感や閉塞感などの消化器系毒性を示したが、MRIガイドを受けた男性にはなかった(14% vs 0%)。
UCLA Health Jonsson Comprehensive Cancer Center 放射線腫瘍学科および泌尿器科の臨床・トランスレーショナルリサーチ副委員長である Amar Kishan 博士は、「MRI ガイドにより、前立腺 SBRT における急性期の GU および GI 毒性が統計的に有意に減少した」と述べている。
「われわれが目にした大きな影響によって、予想サンプル数を半分に減らすことができ、2021年10月に試験登録を完了した。最終的な結果は今年後半に予定されているが、この結果を非常に楽観視しており、この技術が近いうちに前立腺がんの放射線治療を受けている男性により良い結果をもたらすことを願っている」
(2022年2月16日公開)