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28 Mar 2022
中国の科学者らは、Cell Reports Medicine誌に掲載された研究において、進行性前立腺がんにおけるプロゲステロンのオンコメタボリックな役割と、前立腺がん治療の側面としてその発がん作用を除去する戦略を明らかにした。
前立腺がんの発生はアンドロゲンに支えられている。アンドロゲン除去療法やアビラテロンによりアンドロゲンの発生はなくなるが、それでも病気の進行は避けられない。
今回、CAS Center for Excellence in Molecular Cell Science of the Chinese Academy of SciencesのLI Zhenfei氏を中心とする研究チームは、アビラテロン抵抗性患者のメタボロミクスにおける変化を調査し、代謝物の一つであるプロゲステロンが有意に増加していることを発見した。
高用量のプロゲステロンを一過性に投与すると複数の経路が活性化され、がん細胞の増殖が促進される。プロゲステロンを低用量で長期投与すると、GATA2の発現が増加し、その結果、トランスクリプトームが不可逆的に変化し、病気の進行を促進する。
また、プロゲステロンの代謝経路についても調査した。
研究者らは、プロゲステロンの生成をなくすための治療標的として、3βHSD1という酵素を同定した。
具体的には、大豆などに豊富に含まれるイソフラボンの一種「ビオチャニンA」が3βHSD1阻害剤となり、前立腺がんの発生を抑制することを発見した。
プロゲステロンの発がん作用に基づき、血漿プロゲステロン値はアビラテロン投与期間と負の相関があることが判明した。
このように、プロゲステロンはアビラテロンの反応性を予測するバイオマーカーとなる可能性があり、現在、関連する臨床研究が進行中である。
以上のことから、本研究の結果は、ビオチャニンAが3βHSD1を阻害することで、プロゲステロンの発がん作用を排除し、前立腺がんの発生を抑制することを実証した。
https://ecancer.org/en/news/21675-researchers-reveal-strategies-for-advanced-prostate-cancer-treatment
(2022年3月16日公開)