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07 Apr 2022
ドライバー遺伝子変異型肺がんのうち、最も一般的な2つのタイプでの非喫煙者は、エストロゲン誘導体の4-OHEのレベルが高いことが、Fox Chase Cancer Centerの研究者らによる初期データで明らかになり、2022年4月8~13日に開催されるAmerican Association for Cancer Research (AACR) Annual Meeting で発表される予定である。
これまでの研究により、4-OHEが肺腫瘍の発生に寄与していることが強く示唆されている。しかし、今回の新しい研究は、喫煙歴のない肺がん患者におけるその役割に焦点を当てた初めてのものである。
「われわれのクリニックでは、喫煙歴のない患者が肺がんと診断されることが多くなっている」と、血液・腫瘍科の助教授で、Fox ChaseのNever Smokers Lung Cancer Clinicの共同設立者であるJ. Nicholas Bodor医学博士は述べた。
喫煙歴のない人に見つかる肺がんの割合は増加傾向にあり、現在、米国では肺がん患者の10~20%を占めている。また、喫煙歴のない人の肺がんは、男性に比べて2対1の割合で女性に偏っている。
それが、Bodor氏とFox ChaseのCancer Prevention and Control研究プログラムの副科学部長兼共同リーダーであるMargie Clapper博士の研究室が、この病気におけるホルモンの役割に注目した理由の1つである。
肺がんにおけるエストロゲンの役割については他の研究者も研究しているが、発がん性物質であることが知られている4-OHEのような代謝されたエストロゲン誘導体に特化して研究したのはFox Chaseの研究チームだけであった。Clapper氏の以前の研究では、肺腫瘍や肺がん患者の尿中に4-OHEがより多く含まれていることが判明している。
研究者らは、遺伝子変異によって引き起こされるがん遺伝子主導型肺がんを持つ喫煙歴のない患者に焦点を当て、新しい研究を行った。EGFRとALKと呼ばれる最も一般的な2つの変異に焦点を当て、自然なホルモン変動の可能性を減らすために、50歳以上の男性と閉経後の女性に限定して研究を行った。
「われわれは、EGFRおよびALK肺がん患者の尿中に含まれる推定発がん物質4-OHEが、がんでない患者よりも高いことを発見した」 と、Bodor氏は述べた。
また、本試験の患者数が44名と少なかったため、統計的な有意差には至らなかったと述べている。しかし、この研究を拡大するために募集が行われており、Bodor氏は、研究チームが予備的データを共有したいと思うほど、この結果は強力であると述べた。
「われわれは、この比較的少数の患者について発表しているが、この試験への参加者を増やし続けた。最終的には、より決定的な結論を出すのに十分な患者数が揃えば、これらの傾向はより強くなると予想している」と述べた。
「とくに、喫煙歴のない肺がんは若い年齢で発症する傾向があることから、閉経前の女性を含めるよう今後の研究を拡大する予定である」と付け加えた。
Bodor氏は、このチームの研究が、Never Smokers Lung Cancer Clinicで患者を治療することと密接に関係していることを指摘した。「Fox Chaseで行うすべてのことは、最終的には、よりよい治療法の提案、あるいはこの病気の予防である。このエビデンスは非常にエキサイティングだが、実際に患者の生活に変化をもたらすことができるまで祝うことはできない」
本研究は、「Catechol Estrogen Profiles of Patients with EGFR- and ALK-Positive Non-Small Cell Lung Cancer」と題し、ポスターセッションで発表される予定である。
(2022年4月4日公開)