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09 Jun 2022
放射線治療を受けた頭頸部がん患者の多くは、長期間の治療に伴うドライマウス(口腔乾燥症)を発症し、QOL(Quality of Life)や口腔内の健康に悪影響を及ぼす可能性がある。
既存の治療法では効果が限定的で、さらに副作用があるため、新たな治療法が必要となっている。
これまでの研究で、放射線治療中の鍼治療は口腔乾燥症状の重症度を下げる可能性が示唆されていたが、慢性口腔乾燥に対するアプローチを評価するためには大規模な臨床試験が必要だった。
Lorenzo Cohen博士が主導した第III相試験において、真の鍼治療(TA)は、偽鍼治療(SA)や標準的な口腔衛生を受ける待機者リストコントロール(WLC)群よりも慢性口腔乾燥の治療とQOLの改善に効果があることが実証された。
本試験では、Wake Forest Community Oncology Research Program Research Baseに属する33施設において、患者258名が登録された。
参加者は放射線治療後少なくとも1年(平均4年)口腔乾燥を経験しており、TA、SA、WCLのいずれかに無作為に割り付けられた。
12週間のフォローアップでは、TA群とWLC群の間に有意な群間差が生じたが、SA群とWLC群の間には差がなかった。
治療から12週間後、TAを受けた患者は、SA群とWLC群に比べて統計的かつ臨床的に有意なQOLの改善を示したが、SA群とWLC群の間に差はなかった。
この結果は、慢性放射線誘発性口腔乾燥症の治療法として鍼灸治療を考慮する必要があることを示唆している。
Cohen氏は6月6日に調査結果を発表する。
(2022年5月27日公開)