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27 Jul 2022
進行がんの患者は、自分の価値観を反映し、自分が最も重視することに沿った治療法の決定が行われるよう、ケアチームと協力することを望み、また、そうする必要がある。
「重篤な疾患のある患者との疾患についての話し合い(serious illness conversations)」には、予後と治療法の選択肢に関して臨床医が情報を共有することと、患者とその家族が価値観や意向を共有するという2つの内容が含まれており、これらは同じくらい重要である。
専門医向けガイドラインでは、すべての進行がん患者に対して早期に疾患に関する話し合いをもつことが推奨されているが、残念ながらこうした話し合いは行われるのが遅いか、まったく行われないことが多い。
英国Dartmouth Cancer Centerでは大規模な取り組みの第一段階として、臨床研究医、臨床現場でのその他の医療パートナー、データサイエンティスト、さらに患者の家族も含めた幅広いチームが話し合いの質の改善に向けたプロジェクトを実施し、腫瘍内科クリニック2施設でこうした重要な話し合いの回数と記録を増やすことに成功した。
18ヵ月の研究期間中に話し合いを文書化した割合は、ベースラインの0%から70%に増加し、対象患者63人中43人に関して文書で記録された。
このプロジェクトの結果は、米国臨床腫瘍学会の学会誌であるJCO Oncology Practice誌に新たに掲載された(「Interdisciplinary Approach and Patient/Family Partners to Improve Serious Illness Conversations in Outpatient Oncology」)。
Dartmouth Cancer Center頭頸部がんプログラムの腫瘍内科医で、筆頭著者であるGarrett T. Wasp, MDは、「我々は緩和ケアに従事するスタッフと協力し、エビデンスに基づいたトレーニングプログラムを受けて重篤な疾患を有する患者との話し合いを円滑に進めるための知識、スキル、安心感を高めた」と述べた。
研究グループは成功要因として、作業が標準化されていること、学際的チームによって行われること、患者や家族が参加すること、システムレベルのサポートがあることの4点を挙げた。
Dartmouth Health社の技術チームの支援により、臨床医はこのような患者との話し合いを電子カルテに簡単にアクセスできるよう標準化された1ページのフォーマットで文書化できるようになった。
また、本研究は患者との話し合いについて自動追跡と報告ができる臨床医向けツールの開発につながった。
(2022年7月21日公開)