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e-cancer:血液がん がん免疫療法のためのより良い既成のCAR-T細胞を作る

15 Aug 2022

CAR-T細胞免疫療法では、患者自身の血液から採取したT細胞は、腫瘍細胞を攻撃して死滅させる能力を高めるキメラ抗原受容体(CAR)を搭載するよう設計されている。

CAR-T療法は、特定の白血病やリンパ腫に対する強力なアプローチだが、必要とする多くの患者が利用できるわけではない。

8月4日付のCell Stem Cell誌に記載されているように、Boston Children’s Hospital Stem Cell ProgramのGeorge Q. Daley氏の研究室が開発した技術により、CAR-T細胞療法がより広く利用できるようになる可能性がある。

患者の血液から十分な数の機能性T細胞を採取することは難しく、患者ごとにCAR-T細胞を製造することは高価で時間もかかり、患者には時間がない場合もある。

Daley氏らは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いて、複数の患者に使用するために大量生産できる汎用CAR-T細胞を作る方法を開発した。

「汎用iPS細胞は、より効率的にだけでなく、より効果的にCAR-T細胞に変換できることを示し、現在使用している代表的な臨床グレードの細胞に、より忠実に類似した強化型CAR-T細胞を作り出すことができる」と、このプロジェクトの主任研究員で、Dana-Farber/Boston Children’s Cancer and Blood Disorders CenterのメンバーであるDaley氏は述べる。

「われわれの戦略は、 ”容易に入手可能な” CAR-T療法を可能にし、より多くの患者がこれらの治療法を利用できる可能性がある」

抗腫瘍活性の向上

iPS細胞は理論的には無限に異なる種類の細胞を作り出すことができるが、Daley氏と筆頭研究者のRan Jing氏らは、CAR-T細胞を作るための成熟し、かつ完全に機能するT細胞を導き出すという課題を克服しなければならなかった。

従来、iPS細胞はペトリ皿の中で未熟な胚性細胞を作り出す傾向があるため、研究者らはこれに苦労していた。

研究チームは、血液の発達に関わるエピジェネティックな因子に注目し、成熟したリンパ系細胞の分化を抑制するEZH1という酵素に着目した。

EZH1を抑制すると、iPS細胞が成熟T細胞を作成することがわかった。

また、煩雑で十分に成熟していないT細胞が得られるマウス由来の細胞との共培養を回避する培養系も開発した。

iPS細胞由来のT細胞をさらにCAR-T細胞に変化させると、現在臨床治療に用いられている方法で得られたCAR-T細胞と同等の抗腫瘍活性を示した。

この新しい細胞は、従来のiPS細胞法で作られたT細胞と比較して、実験室内でがん細胞を殺す能力、生きたマウスでがん細胞を除去する能力が向上していた。

「長年にわたって期待されてきたiPS細胞は、ついに、がんのような疾患の治療に対する新しい治療法をもたらすようになった」と、Daley氏は述べる。

https://ecancer.org/en/news/22086-making-better-ready-made-car-t-cells-for-cancer-immunotherapy

(2022年8月4日公開)

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