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24 Nov 2022
米国National Institutes of Healthに属するNational Institute of Allergy and Infectious Diseases(NIAID)の研究者らが、マウスにおいて、実験的治療用がんワクチンによって、腫瘍の著しい退縮につながる2種類の異なる望ましい免疫系反応が引き起こされたと報告した。
研究者らは、ワクチンの静脈内投与により、腫瘍細胞に浸潤して攻撃する能力を持つ細胞傷害性T細胞数が増加し、I型インターフェロンを誘導することで自然免疫系に働きかけることを発見した。
自然免疫応答は腫瘍の微小環境を変化させ、T細胞の活動を抑制する力を打ち消した。腫瘍の微小環境の変化は、皮膚に針でワクチンを注射した(皮下投与)マウスでは見られなかった。
研究チームにより「vax-innate」と名付けられたこのアプローチは、がんに対する、より効果的な免疫療法ワクチンの研究において重要な目標を達成する。この研究は、静脈内投与したワクチンが、腫瘍によって引き起こされる免疫抑制活性を克服することによって、T細胞免疫を可能にし、強化することを実証している。
研究者らは、このワクチン候補は、治療としてすでに腫瘍特異的T細胞の投与を受けている人に静脈内投与することも可能であろうと述べている。また、T細胞数を増やし、腫瘍の微小環境を変化させて機能を向上させることにより、腫瘍の制御を改善できる可能性もあると、研究者らは指摘している。
実験用ワクチンであるSNAPvaxは、NIAID Vaccine Research Center (VRC)のRobert Seder医学博士らと、メリーランド州ボルチモアの臨床段階のバイオ医薬品会社であるVaccitech North Americaの共同研究者によって設計された。Vaccitech社は、2023年にSNAPvaxプラットフォームをヒトパピローマウイルス関連がんの治療に使用する計画を発表している。
https://ecancer.org/en/news/22393-experimental-cancer-vaccine-shows-promise-in-animal-studies
(2022年11月15日公開)