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e-cancer:血液がん ASH 2022:blinatumomabは予後良好なB細胞系ALL患者の生存率をさらに向上

27 Dec 2022

第64回American Society of Hematology(ASH)年次総会にて発表された第III相試験において、免疫療法剤blinatumomabが、B細胞系ALLの初期治療後に微小残存病変がない(MRD陰性)患者の全生存期間を改善することが明らかになった。

この研究結果は、現在FDAが寛解期のMRD陽性B細胞系ALL患者、および化学療法に反応しない患者、または初回反応後に再発した患者に承認しているblinatumomabが、このがんのすべての患者に対する一次治療として安全かつ有効であることを示唆していると研究者らは述べている。

「われわれの研究は、化学療法にblinatumomabを追加することで患者の寛解を維持し、生存率を向上させることを示している」と、ミネソタ州ロチェスターのMayo ClinicのMark Litzow医学博士は述べ、「われわれの発見に基づけば、これは新しい標準治療であると思う」

Blinatumomabは、二重特異性抗体であり、患者のT細胞を白血病細胞に近づけることで、免疫システムががんを破壊するように働く。これまでの研究で、初回化学療法後に白血病が検出された患者(MRD陽性)、つまり再発リスクが比較的高いグループの治療成績を改善することがわかっている。今回の試験で、Blinatumomabは、一般的に予後が良好で、初回治療後に病変が検出されない患者(MRD陰性)にも大きな恩恵をもたらすことが示された。

本試験では、米国、カナダ、イスラエルの77の臨床施設において、新たにB細胞系ALLと診断された成人488名が登録された。すべての参加者は、初回コースとして標準的な併用導入化学療法を2.5か月間受けた。導入療法終了時に寛解した患者は強化療法に移行した。強化療法の目的は、白血病が中枢神経系で発症するのを食い止めることである(中枢神経系は予防しないとよく再発する部位である)。

研究者らは、強化療法後に中央検査機関でMRDの状態(陰性または陽性)を判定し、参加者を標準コースの地固め化学療法または化学療法とblinatumomab 4サイクルの併用療法にランダムに割り付けた。その後、参加者は標準的な維持療法を受ける一方で、2.5年間経過観察した。この試験には、担当医師の判断で幹細胞移植に進むという選択肢も含まれていた。

中央値43か月の中間解析では、導入化学療法後にMRD陰性を示した224名の患者の転帰を評価した。その結果、地固め療法期にblinatumomabと化学療法併用患者は全生存率83%と、地固め化学療法単独患者65%より有意に良好であることがわかった。この中間解析時点までに、blinatumomab投与群17名、化学療法単独投与群39名が死亡した。

「MRD 陰性患者は、一般的に MRD 陽性患者よりも予後が良好だが、それでも再発する。われわれはもっと良い方法があると考え、blinatumomabが、この既にある程度良好なリスク群の結果を改善するかどうかを確かめたかった。そして、この試験で改善することが判明した」と、Litzow医師は述べている。

本試験では当初、MRD陽性患者を2つの試験群に無作為に割り付けたが、2018年にFDAがこの患者層に対して本剤を承認後、この無作為化を終了した。今後は、本試験でMRD陽性であるすべての患者がblinatumomab+化学療法群に割り付けられ、MRD陰性である患者は引き続き無作為化が行われた。

本試験では、blinatumomab使用に伴う安全性に関する新たな懸念は認められず、患者72%に72時間と96時間の点滴をした。これらの点滴時間は、本試験を実施するために必要であることが証明された。研究者らは、データをさらに分析し、特定のサブグループの患者が他の患者よりもblinatumomabの恩恵を受けやすいかどうかを判断する予定である。

本試験は、ECOG-ACRIN Cancer Research Group(ECOG-ACRIN)が企画・実施し、米国National Institutes of Healthの一部であるNational Cancer Instituteが資金提供するNational Clinical Trials Networkの参加を得て実施された。Blinatumomabの製造元であるAmgen社は、NCIとの共同研究開発契約に基づき、本試験で使用された薬剤とサポートを提供した。

https://ecancer.org/en/news/22492-ash-2022-blinatumomab-further-improves-survival-among-b-lineage-all-patients-with-a-good-prognosis

(2022年12月13日公開)

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