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22 Feb 2023
簡易な皮膚レーザー治療が、米国で最も多く診断されているがんの種類である基底細胞がんとケラチノサイトがんとして知られる有棘細胞がんの発生を予防する可能性を示す新たな研究結果が発表された。
Massachusetts General Hospitalの研究チーム(Mass General Brighamの創設メンバー)がこの研究を実施した。本知見はDermatologic Surgery誌に掲載され、個人が自身の皮膚の健康を守るために実施しやすい方策を明らかにした。
非剥離的フラクショナルレーザー(NAFL)は、表皮を剥離する剥離性フラクショナルレーザーとは異なり、照射により表皮を損なうことなく熱凝固を加えるもので、現在は瘢痕や日焼けによって損傷を受けた皮膚、加齢性色素斑などの治療に用いられているが、皮膚の損傷を防止する効果は不明であった。
この点について調査するため、Mass General Dermatology Laser & Cosmetic CenterのディレクターであるMathew Avram, MD, JDらは、過去に顔面の有棘細胞がんの治療が成功した患者を調査した。このような患者は3年以内に35%、5年以内に50%の確率でその後に有棘細胞がんを再発すると言われている。
この研究では、43人の有棘細胞がん患者がNAFL療法を受け、NAFL療法を受けない52人を対照群とした。
平均6年以上の追跡調査における顔面有棘細胞がんの再発率は、NAFL治療を受けた患者で20.9%、対照群で40.4%であり、NAFL治療を受けた患者のリスクは約半分であることが示された。年齢、性別、スキンタイプを調整すると、対照群は顔面有棘細胞がんを新たに発症する確率がNAFL治療群の2.65倍であった。また、顔面有棘細胞がんを発症した患者のうち、NAFL治療を受けた患者では、未治療の患者に比べて発症までの期間が有意に長かった。
「これらの知見は、NAFL治療がその後の有棘細胞がんを予防する上で重要な役割を担っている可能性を示唆している」とAvram氏は述べた。「NAFLの保護効果のメカニズムは完全には解明されていないが、NAFL治療が紫外線で傷害されたケラチノサイトにかかる全体的な負担を減らし、創傷治癒反応を促進し、健康な皮膚細胞が選択的に優位に立つのではないかと推測されている。」
Avram氏は、皮膚がん予防におけるNAFLの役割をより厳密に評価し、その保護効果の持続時間を明らかにし、最適な治療パラメータを決定するための追加研究が必要であると指摘している。「本知見に基づいて、皮膚がんのリスクがある場合、または異常に気づいた場合は、皮膚がん予防のために非剥離性レーザー治療を受けることが推奨される」とAvram氏は述べている。
さらに、皮膚がんのリスクを減らすためには次のような適切な予防策をとることが不可欠である。
・毎日の日焼け止めの塗布
・日中は帽子や保護服を着用する
・皮膚の自己診断の実施
その他の共著者はTravis A. Benson, MD; Brian P. Hibler, MD; Dylan Kotliar, MD, PhDである。
https://ecancer.org/en/news/22583-simple-laser-treatments-may-help-prevent-nonmelanoma-skin-cancer
(2023年1月23日公開)