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12 Apr 2023
米国では、手術や放射線治療より積極的監視を選択する前立腺がん患者が2010年以降急速に増加しており、低リスク患者では16%から60%、良好な中等度リスク患者では8%から22%に増加していることが、本日JAMA Internal Medicine誌に発表された。
積極的監視とは、前立腺がんの進行を積極的にモニターし、がんが進行した場合には手術や放射線治療で介入することを意図している。
低リスク前立腺がん男性にとって好ましい治療法であり、良好な中等度リスク前立腺がん男性の一部にも選択肢となる。
「本研究結果は、積極的監視療法が有効な男性の割合が時間の経過とともに増加していることを示しており、勇気づけられる」と、筆頭著者であるVanderbilt University Medical Center(VUMC)の泌尿器腫瘍学フェロー2年目のBashir Al Hussein Al Awamlh氏は述べた。
「今回の調査結果は、患者や医師が低リスクのがんを観察することに次第に慣れてきており、監視のメリットがより多くの男性に広がっていることを示唆している。しかし、欧州の一部の国々とオーストラリア同様の割合に達するには、積極的監視の実施に改善の余地が残されている。特に、低リスクのがんにおける積極的監視の安全性を実証する最近のデータを考慮するとなおさらである」と、Awamlh氏は述べている。
クリーブランドのUniversity Hospitals (UH) Seidman Cancer Center、UH Urology Institute、Case Western Reserve Universityの泌尿器科准教授である上級著者Jonathan Shoag氏によれば、監視はこれらのがんの治療に伴う副作用を緩和し、腫瘍学的に安全であると考えられている。
「これらのデータは、前立腺がんの診断が、もはや患者が治療を受けることを意味しないことを示している」と、Shoag氏は述べている。「このことは、PSA検査による前立腺がんのスクリーニングの有益性が有害性をはるかに上回るという、すでに説得力のある議論をさらに強化するものである。われわれは今、不寛容に振舞うと思われるがんの治療を避けることができ、実際にそうしている」
VUMCの研究者らは、大学病院および国立がん研究所と共同で、2010~2018年の患者を調査し、米国における積極的監視を受ける際の人種・民族、所得、地方による格差を明らかにした。
研究著者らは、Surveillance, Epidemiology and End Results(SEER)の「Prostate with Watchful Waitingデータベース」を用いて、2010~2018年にかけて、全米包括ケアネットワークが定義する低リスクおよび良好な中等度リスク前立腺腺がんを有する40歳以上の男性を特定した。
また、ヒスパニック系の男性、低所得の男性、地方に住む男性は、積極的監視の選択や提案される可能性が低いことがわかった。
VUMCのWilliam L. Bray Professor and Executive Vice Chair of Urologyである共著者のDaniel Barocas氏は、「積極的監視の潮がさせば全ての船が浮かぶのを見たい」と述べた。
https://ecancer.org/en/news/22906-more-u-s-prostate-cancer-patients-choosing-active-surveillance
(2023年4月5日公開)