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20 Apr 2023
新たな研究で、米国がん協会(ACS)の研究者らは、パンデミックが発生した初年度の米国で、がんを基礎疾患または主要な要因とする死亡が、2019年と比較して2020年に減少し、それ以前の減少傾向を継続していることを見出した。一方、がんを一因とする死亡率は、2019年と比較して2020年に高くなり、それ以前の減少傾向を逆転させた。本研究は、Journal Oncology Practice(JOP)誌に掲載された。
「がん患者は、健康状態や治療に関連した免疫抑制により、COVID-19感染のリスクが高く、より重度の症状を経験していた」と、米国がん協会の医療サービス研究担当の上級副研究者で本研究の主任研究者であるJingxuan Zhao氏は述べた。「パンデミックの初期に、病院の収容人数を制限し、感染を減らすための自宅待機命令や緊急性のない治療の中止は、がん検診、診断、治療の遅れをもたらし、死亡率の上昇に寄与した可能性がある」
本研究のために、ACSの研究者らは、CDCのWide-ranging Online Data for Epidemiological Research(WONDER)の一部であり、National Center for Health Statisticsが作成した2015~2020年のUnderlying and Multiple Cause of Deathデータベースのデータを調査した。研究者らは、浸潤がんを基礎疾患とするか浸潤がんを一因としたがん関連死を特定した。2020年の年齢標準化がん関連死亡率を2015~2019年のものと比較し、性別、人種/民族、都市部または農村部の居住地、死亡場所によって層別化した。
ACSの研究者らは、過去の傾向に基づき、2020年にはがんを一因とする死亡が予想より19,703人多くなると予測した。パンデミックのピークを反映して、がんを一因とする月間死亡率は、2020年4月に初めて増加し(RR:1.03、95%CI:1.02-1.04)、その後2020年5月と6月に減少し、2020年7~12月にかけて2019年と比較して毎月再び増加し、12月に最も高い比率(RR:1.07、95%CI:1.06-1.08)となった。
がんを一因とする死亡がこれほど増加した理由をよりよく理解するためには、さらなる研究が必要である」とZhao氏は述べている。「我々は、長期的ながん関連死亡率の傾向と、COVID-19の大流行ががんの診断と治療にどのような影響を及ぼしたかを、引き続き注視する必要がある」
(2023年4月14日公開)