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29 Jun 2023
小細胞肺がん(SCLC)は特に浸潤性の高い腫瘍であり、常に高い死亡率を示している。近年、ウィーン医科大学胸部外科の研究者たちの研究は、この悪性疾患に対するさらなる理解と新たな治療アプローチに大きく貢献している。
ウィーン医科大学胸部外科のBalazs Döme氏の研究チームは、SCLCの生物学的性質と不均一性に関する新たな知見を得た。
研究者らは以前、スウェーデン、チェコ共和国、ハンガリー、米国の研究者らとの共同研究により、SCLCをさまざまなサブグループに分類することが可能であり、そのサブグループによって臨床症状が異なり、新たな治療戦略が生まれる可能性があることを示した。研究者らはまた、SCLCの特徴的な分子プロファイルを有する患者において、特定の多剤併用療法が特に有望な治療アプローチであることも示した。
このような深遠な研究貢献に基づいて、ウィーン医科大学胸部外科のTranslational Thoracic Oncology Research Laboratoryチームは最近、小細胞肺がんにおける最近の進歩の包括的な概要を発表した。
Balazs Döme氏らのチームによる総説は、この度、権威ある学術誌『CA: A Cancer Journal for Clinicians』誌に掲載された。この学術誌は、米国がん学会の主要学術誌であり、世界中の科学雑誌の中で最も高いインパクトファクター(286)を有する。
胸部外科のKonrad Hötzenecker教授は、「我々の研究成果がこのように高く評価されたことを嬉しく思う」と述べている。「これにより、ウィーン医科大学胸部外科の臨床および肺がん研究活動を主要なセンターのひとつとして、さらに拡大するための最適な基盤が整った」と、新しく胸部外科教授に就任したClemens Aigner氏は強調する。
個別化治療の開発促進
肺がん患者の約15%が小細胞肺がんに罹患している。この特に攻撃的な腫瘍は、通常は喫煙者に発生し、急速に成長し、転移する傾向が強く、死亡率が高い。Balazs Döme氏によれば、SCLCに対する従来の治療法の有効性は限界に達している。「我々の研究によって、既に標的化された個別化治療アプローチの開発の基礎が築かれている。我々は今、それをさらに前進させたいと考えている」
https://ecancer.org/en/news/23266-significant-progress-in-small-cell-lung-cancer-research
(2023年6月23日公開)