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27 Oct 2023
がん検診で検査結果に異常が見つかった場合、さらなる検査を実施し、必要であればできるだけ早く治療を開始できるよう迅速なフォローアップが重要である。
しかし、このようなフォローアップには多くの障壁が存在する。
Mass General Brigham(MGB)の創設メンバーであるMassachusetts General Hospital(MGH)の研究者らが主導した最近の臨床試験で、がん検診の異常結果後の適時フォローアップ率を向上させるために、患者の電子カルテ(EHR)に自動リマインダーを表示したり、患者支援活動を行うなど、多段階の介入を行った結果、有望な結果が示された。
JAMA誌に掲載されたこの臨床試験は、44のプライマリーケア診療所で治療を受けており、乳がん、子宮頸がん、大腸がん、肺がんの検診結果に異常があった患者11,980名を対象とした。
診療所とその対象患者は、1)通常のケア、2)EHRリマインダー、3)EHRリマインダーと患者支援(患者への手紙とそれに続く電話)、4)EHRリマインダーと患者支援と患者ナビゲーターによるフォローアップ電話の4群に無作為に割り付けられた。
第3群および第4群の患者は、第1群および第2群の患者よりも、120日以内に検査結果の異常に関連して推奨されるフォローアップを受ける可能性が高かった。
第1群、第2群、第3群、第4群でこのような治療を受けた患者の割合は、それぞれ22.9%、22.7%、31.0%、31.4%であった。
同様の傾向は、240日以内の追跡調査完了、がんの種類に基づく患者のサブグループ別、スクリーニング結果に関連するリスクのレベル別でも観察された。
「医療機関において、対象となる患者におけるがん検診の利益を最大化するためには、期限切れとなっている乳がん、子宮頸がん、大腸がん、肺がんなどの異常検査結果のタイムリーなフォローアップを確実にするために、EHRリマインダーや患者支援活動を含むシステムが必要である」と、筆頭著者で、MGHの一般内科医およびHarvard Medical School准教授であるSteven J Atlas医学博士は述べている。
「このようなシステムは、プライマリーケアに基づくのが最善だと考えている。なぜなら、プライマリーケアの臨床医は、”全人的”アプローチをとり、がん検診や検査結果のフォローアップを含む幅広い予防医療活動を担っているからである。
Atlas氏は、介入は成功しているものの、予防がん検診の恩恵を最大限に得るためには、ケアには依然として大きなギャップがあり、それらに対処する必要があると指摘している。
(2023年10月11日公開)