トップ > ニュース

ニュース

e-cancer:脳腫瘍 抗不安薬は脳腫瘍の生存可能性を改善するか

06 Nov 2023

新研究は、脳脊髄液が脳腫瘍の現在の治療効果を低下させ、新たな治療機会を特定することを示唆している。

South Australian Health and Medical Research Institute (SAHMRI)とFlinders UniversityのCedric Bardy准教授率いるオーストラリアの研究者らは、脳を保護する無色透明の液体である脳脊髄液も、脳腫瘍の治療抵抗性を高める可能性があることを、Science Advances誌で明らかにした。

注目のScience Advances 誌に掲載された、これがどのように起こるのかを報告する研究は、数十年前からある抗不安薬が、最も一般的で致死性の脳腫瘍である膠芽細胞腫(GBM)に対する化学放射線療法の効果を改善することを示している。

脳腫瘍は、他のどのがんよりも子どもと40歳未満の成人の死亡数が多い。

体内の他の場所のがんを殺す治療法に対して抵抗性がある。

研究チームは、脳固有の特徴がこれに寄与しているのではないかと推測している。

オーストラリアの神経生物学者、神経外科医、腫瘍学者の共同チームは、地元のGBM患者25名から採取した腫瘍細胞の増殖に対するヒトの脳脊髄液という重要な資源の影響を調べた。

その結果、腫瘍細胞はすぐにその正体を変え、GBM治療の主役である放射線やテモゾロミドに対する抵抗性を高めた。

「GBMは、元気かつ健康で若々しい多くの人々を、数か月以内に死に至らしめる。これは恐ろしい病気であり、利用可能な治療法は深刻な副作用があるにもかかわらず、十分な効果がない」と、Cedric Bardy准教授は述べる。

「この研究は、現在の化学療法の限界を理解するのに役立ち、標準治療に追加可能な薬剤の再利用に新たな希望を与えてくれる。われわれは現在、これを臨床試験で患者に試すために懸命に取り組んでいる」

これらの変化の分子的根拠を調査したところ、研究チームは、脳脊髄液に曝露されたGBM細胞が、治療誘発性細胞死の一形態であるフェロトーシスに対してより耐性があることを発見した。

重要なことは、1950年代から使用されている抗不安薬であるトリフルオペラジンが、膠芽腫細胞を両方の療法に対し再感作させる可能性があることを示したことである。

一方、トリフルオペラジンは健康な脳細胞には害を与えないことが判明した。

研究者らは、トリフルオペラジンと標準治療を組み合わせるとGBM患者の生存率が向上する可能性があると結論づけた。

https://ecancer.org/en/news/23881-anti-anxiety-drug-may-improve-brain-cancer-survival-chances

(2023年10月27日公開)

CROI2024 速報
HIV感染症治療教育プログラム
EACS2023 速報
IAS2023 速報
Practice Updates~HIV感染症治療戦略~
HIVクイズ
ecancer
国際学会カレンダー