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28 Nov 2023
エピジェネティックな変化は、遺伝子のオン・オフを切り替えることによって、前立腺がんが治療に抵抗する原因となる。エピジェネティックなメカニズムの一つは、遺伝子にDNAメチル化マークを付けることである。
このプロセスはDNAメチルトランスフェラーゼと呼ばれる分子によって媒介される。これらのタグは、腫瘍の増殖や進行型への移行を促進するような形で遺伝子発現を変化させることがある。
Dana-Farber Cancer Instituteの研究者らは、進行前立腺がんの患者由来前臨床モデルを用いた実験で、特定の血液がんの治療薬であるデシタビンを用いてDNAメチル化を阻害すると、神経内分泌の特徴やRB1遺伝子の欠損を有する進行前立腺がんのサブセットにおいて特異的に腫瘍増殖が抑制されることを発見した。
また、B7-H3と呼ばれる受容体を産生する遺伝子のメチル化が減少し、発現が上昇する。この受容体は、現在臨床試験で評価中のDS-7300aという抗体薬物複合体の標的である。B7-H3のレベルが高い前立腺がんでは、DS-7300aは単独でも有効であった。
しかし、B7-H3濃度が低い場合にはDS-7300a単独では効果が低かった。研究者らは、薬剤を併用すると、デシタビンが腫瘍をDS-7300aに感作し、有効性を改善することを観察した。
インパクト:RB1遺伝子欠損または神経内分泌の特徴を有する腫瘍を有する進行前立腺がん患者は、しばしば予後不良であり、治療選択肢も限られている。この研究は、デシタビン、B7-H3標的療法、あるいはこの2つの併用療法を含む、この集団に特化した治療戦略の可能性を開くものである。
(2023年11月17日公開)