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14 Dec 2023
Goethe UniversityのInstitute of Biochemistry II の Stefan Müller教授が率いる研究者らは、急性骨髄性白血病(AML)として知られる血液がんの特殊な形態を調査した。
この研究はCell Reports誌に掲載された。
この病気はおもに成人期に発症し、高齢患者では最終的に死に至ることがよくある。AML患者の約3分の1では、がん細胞の遺伝物質に、同じ名前のタンパク質の構築指示を含む、いわゆるNPM1遺伝子に影響を与える特徴的な変異が見られる。
変異NPM1バリアント (NPM1c と略す) が白血病の発症の重要な因子であることはすでに知られていたが、「Goethe Universityのさまざまな研究グループで構成される学際的なチームと協力して、われわれは今回、NPM1c遺伝子変異体がこれを行う新しい方法を発見した」と、Müller氏は説明する。
それによると、この変化したタンパク質は、オートファジー(細胞が自らの構造をリサイクルする代謝経路からなる重要な細胞プロセス)に介入している。一方では、この“自己消化”は欠陥分子の除去に役立っている。
「その一方で、栄養不足に陥ったり、がん細胞に特徴的な細胞増殖が亢進した場合にも、細胞は重要な構成要素のニーズを満たすことができる」と、この研究の筆頭著者である博士課程の学生Hannah Mende氏は説明する。
オートファジーの際、細胞はまずオートファゴソームというゴミ袋のようなものを作り、その中に必要に応じて分解・再利用される細胞成分を詰め込む。
このゴミ袋はその後、細胞のリサイクルセンター、いわゆるリソソームに運ばれ、そこで酸や酵素の助けを借りて中身が分解される。
ここから構成要素は細胞内に放出され、再利用される。「NPM1cがリソソームだけでなく、オートファゴソームの生成も促進することがわかった」と、Müller氏は述べる。
研究者らはまた、NPM1c がこれらの効果をどのように与えるかという疑問に対する答えも提供した。 NPM1c は、GABARAP と呼ばれるオートファゴソーム – リソソーム系の中心調節因子に結合し、それによってそれを活性化する。
「コンピューター・シミュレーションを用いて、NPM1cとGABARAPの結合が非典型的な構造であることを明らかにした」と、Institute of Biochemistry IIの計算細胞生物学ワーキンググループ長である共著者のRamachandra M. Bhaskara博士は説明する。
構造生物学の実験データからも、このシミュレーション結果が確認され、これに基づいて、NPM1cとGABARAPの結合に特異的に影響を与え、白血病細胞の増殖に対抗する活性物質を開発できる可能性が出てきた。
https://ecancer.org/en/news/23958-leukaemia-cells-activate-cellular-recycling-program
(2023年12月5日公開)