ニュース
27 Feb 2024
陰茎扁平上皮がんは治療選択肢が限られた稀な悪性腫瘍であり、特に進行がんは予後不良である。陰茎がんは症例が少ないことから、より詳細な理解と管理方法に焦点を当てた研究はほとんどない。
Journal of the National Cancer Institute誌に掲載された新たな論文でMoffitt Cancer Centerの研究者らは、この稀で侵襲性の高いがんの治療選択肢に関するエビデンスに存在する重要な欠落を埋めることを目指し、局所進行陰茎扁平上皮がんに対する術前補助化学療法の有効性と安全性に関するデータを共有した。
研究チームは米国、欧州、南米の研究機関と共同で、術前補助化学療法を受けた後にリンパ節郭清術(悪性度を調べるためにリンパ節を切除・郭清する外科的処置)を受けた局所進行陰茎扁平上皮がん患者209名の転帰を調査した。
術前補助化学療法とは主治療の前に行われる療法であり、例えば外科的切除の前に腫瘍を縮小させるために行われる。
半数以上の患者(57.2%)が客観的奏効を示し、43.2%が部分奏効、13.9%が完全奏効を達成した。
これらの奏効例は非奏効例に比べて全生存期間が有意に長かった。
奏効した患者の全生存期間中央値は73.0ヵ月であったのに対し、奏効がみられなかった患者では17.0ヵ月であった。
さらに、奏効した患者の無増悪生存期間中央値は26.0ヵ月であり、長期的な病勢コントロールの可能性が強調された。
「プラチナ製剤ベースの術前補助化学療法は忍容性が良好で、グレード3以上の治療関連有害事象を経験した患者はわずか17%であった。重要なことは、治療関連死亡率が観察されなかったことだ」と、本研究の著者であり、同センター泌尿器腫瘍科のassistant memberであるJad Chahoud氏は述べた。
陰茎扁平上皮がん患者の予後を改善するための臨床試験への取り組みが進行中であり、本研究の発表は重要な時期に行われた。
本知見は、この疾患に関してこれまでに報告された中で最大のコホート解析であり、局所進行陰茎扁平上皮がんの臨床上の意思決定や治療戦略の策定に役立つものである。
「我々の知見は、局所進行陰茎扁平上皮がんの治療における術前補助化学療法の有効性と安全性を示す有力な証拠となる。これらの結果は、この困難な疾患への対処における集学的アプローチの重要性を強調するものであり、患者の転帰改善への希望を与えるものだ」と、研究著者である同センターの外科アシスタントチーフ兼泌尿生殖器腫瘍科シニアメンバーであるPhilippe Spiess, M.D.は述べた。
(2024年2月19日公開)