ニュース
06 Jun 2024
PD-L1の発現状態によって選択されなかった転移性ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性乳がん患者が、免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブに抗体薬物複合体であるsacituzumab govitecanを追加投与したところ、無増悪生存期間中央値が1.9ヵ月延長したが、統計学的有意差は認められなかった。
研究チームは、2024年5月31日~6月4日にシカゴで開催されたAmerican Society of Clinical Oncology(ASCO)2024年次総会で研究成果を発表した。
PD-L1陽性腫瘍患者(複合陽性スコア1以上と定義)のサブグループでは、sacituzumab govitecanの単独療法と比較して、sacituzumab govitecanとペムブロリズマブの併用療法で無増悪生存期間中央値が4.4カ月延長した。
第Ⅱ相SACI-IO HR+試験は、これら2つの治療法が相乗的に作用するかを評価するためにデザインされた。sacituzumab govitecanは、SN-38と呼ばれる化学療法薬と結合した抗体で構成されている。
がん細胞では、SN-38がDNA損傷を引き起こし、がん細胞内の経路の活性化を介して、T細胞をがんに引き寄せる可能性がある。
ペムブロリズマブ(免疫系のブレーキを解除する免疫チェックポイント阻害薬)との併用により、免疫系ががん細胞を認識し攻撃する能力を高める可能性がある。
SACI-IO HR+試験は、治療歴のある進行性または転移性HR陽性/HER2陰性乳がん患者110名が組み入れられ、104名の患者が治療を開始した。その半数はsacituzumab govitecanとペムブロリズマブの併用療法を受け、半数はsacituzumab govitecan単独療法を受けた。
追跡期間中央値12.5ヵ月の時点で、無増悪生存期間(がんが悪化するまでの生存期間)の中央値は、sacituzumab govitecan単独療法群は6.2ヵ月であったのに対し、併用療法群は8.1ヵ月であった。
本試験に参加した患者のうち、腫瘍がPD-L1陽性であった約40%において、無増悪生存期間中央値は、sacituzumab govitecan単独療法の6.7カ月に対し、併用療法では11.1カ月であった。
これらの結果は、PD-L1陽性の転移性HR陽性/HER2陰性乳がん患者におけるsacituzumab govitecan+ペムブロリズマブのさらなる研究を支持するものである。
(2024年6月2日公開)