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13 Jun 2024
二重特異性抗体FS222の第Ⅰ相試験の初期データは、特に抗PD-1免疫チェックポイント阻害剤による免疫療法に抵抗性の転移性皮膚メラノーマ患者において、管理可能な安全性プロファイルと有望な抗腫瘍活性を有する薬剤であることを示している。
特にメラノーマ患者における有望な抗腫瘍活性データ
現在進行中の試験には、すでに1~7回の治療歴のある様々なタイプの腫瘍を有する患者104名が組み入れられた。
この第Ⅰ相試験の予備的結果では、メラノーマ、非小細胞肺がん、卵巣がん、トリプルネガティブ乳がん、脂肪肉腫、結腸がんの患者において部分的または完全な客観的奏効率が示された。
腫瘍内科医でVHIOのMolecular Cancer Therapy Research Unit UITM-CaixaResearchのディレクターでもあるElena Garralda博士は、5月31日~6月4日にシカゴで開催された2024 American Society of Clinical Oncology (ASCO) の年次総会でこのデータを発表した。
全ての腫瘍タイプに対する全奏効率は17%であった。「しかし、免疫チェックポイント阻害剤による免疫療法が奏効しなかった進行性皮膚メラノーマ患者において、結果が際立っていた」とElena Garralda博士は付け加えた。
これらの患者の全奏効率は47.4%であり、68.4%の患者で病勢がコントロールされた。
「これらは非常に予備的な結果ではあるが、特に従来の免疫療法に反応しないメラノーマ患者にとって非常に有望である」と、Elena Garralda博士は述べている。
治療に伴う副作用は、この薬剤の安全性プロファイルが許容可能かつ管理可能であることを示している。薬理学的には、治療患者の生検で、腫瘍T細胞の調節と増加が認められ、腫瘍に対する免疫応答の活性化が確認された。
腫瘍に対する免疫応答を再活性化する革新的デザイン
「免疫療法の登場はがん治療の展望において革命をもたらしたが、今日に至るまで、免疫チェックポイント阻害剤を投与されたほとんどの患者は治療に反応しないか、再発している。したがって、より多くの患者に大きな利益をもたらす新たな免疫療法戦略を見出すための研究を継続する必要がある」とElena Garralda博士は説明する。
FS222は革新的な次世代の二重特異性抗体である。その四価構造により、一方でPD-L1免疫チェックポイントを阻害し、他方で免疫応答のアゴニストまたはエンハンサーとして作用する。
これにより、腫瘍細胞に対する患者の免疫系を非常に強力かつ選択的に活性化することが可能となる。
「次のステップとしては、投与量の選択をより最適化し、メラノーマおよび他の腫瘍を有する患者におけるFS222の有効性プロファイルをさらに評価し、より多くの患者における効果を確認することである」とGarralda博士は結論付けた。
(2024年6月4日公開)