トップ > ニュース

ニュース

e-cancer:皮膚がん 進行性メルケル細胞がんと闘う鍵となる免疫細胞が研究により判明

13 Aug 2024

メルケル細胞がんは、稀ではあるが非常に進行の速い皮膚がんであり、急速に増殖し、転移しやすいことで知られている。

がん細胞に対する身体の免疫反応を高める免疫チェックポイント阻害療法は、有望であるにもかかわらず、患者の約半数はこの治療に反応しない。

本日Cancer Discovery誌に発表された新たな研究は、メルケル細胞がん患者にはこのタイプの免疫療法に反応する人と反応しない人がいる理由についての洞察を提供している。

Moffitt Cancer Centerの研究者らは、Robert H. Lurie Comprehensive Cancer Center of Northwestern Universityの研究者らと共同で、メルケル細胞がんに関するこれまでで最大かつ最も包括的な研究を実施した。

彼らは、高度なマルチモーダル技術(バルクおよびシングルセルRNAシーケンシング、空間的トランスクリプトミクス、マルチプレックス免疫蛍光法)を使用して116名の患者から採取したサンプルを解析し、免疫反応と腫瘍の特性に関する洞察を得た。

彼らの知見は、特異的な免疫細胞、特に組織常在型CD8 T細胞とγδT細胞が、免疫チェックポイント阻害療法に対する身体の反応において重要な役割を果たすことを明らかにしている。

Moffittの病理学研究の副部長であるKenneth Tsai医学博士とNorthwestern UniversityのJaehyuk Choi医学博士が共同で率いる研究チームは、免疫チェックポイント阻害療法に反応する患者は、腫瘍内の既存の組織常在型CD8 T細胞またはVδ1 γδT細胞のレベルが高いことを発見した。

これらの細胞は、抗原特異性を反映した独自の転写プログラムとクローン増殖を示し、がん細胞を効果的に認識し攻撃する能力を有している。

対照的に、免疫療法に反応しなかった患者の腫瘍は増殖が亢進し、神経幹細胞に関連するマーカーや炎症性分子IL-1の増加が認められた。

空間的トランスクリプトミクスを用いて、これらの有益なT細胞がB細胞や樹状細胞などの他の免疫細胞のすぐ近くに認められることが多く、必要なケモカインや共刺激を供給することにより活性を高める役割を果たすことを、研究者らは実証した。

腫瘍微小環境内でのこの緊密な細胞相互作用は、免疫反応の有効性における主な要因である。

「我々の知見は、免疫チェックポイント阻害療法に対する患者の反応を予測するためのバイオマーカーとして、特定の遺伝子や免疫細胞を利用できる可能性を強調するだけでなく、耐性を克服し、有効性を高めるためのいくつかのアプローチも示唆している」とTsai氏は述べた。

「重要なことは、治療前の腫瘍に免疫細胞が適切に混在していた患者は、反応する可能性がより高かったということである。正確な局在化により免疫細胞数を増加させることで、治療成果を高める可能性があることを示唆している」

 

https://ecancer.org/en/news/25085-study-uncovers-key-immune-cells-for-combating-aggressive-merkel-cell-carcinoma

(2024年7月29日公開)

CROI2024 速報
HIV感染症治療教育プログラム
EACS2023 速報
IAS2023 速報
Practice Updates~HIV感染症治療戦略~
HIVクイズ
ecancer
国際学会カレンダー