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15 Oct 2024
ESMO 2024で発表されたがん患者の運動に関する研究は、Breast Cancer Weight Loss(BWEL)試験のデータを基に行われたものである。
この試験は、乳がん診断後の減量プログラムに参加することで、BMIが過体重または肥満に該当する女性のがん再発リスクを低減できるかを調査するものである。
BWEL試験では、乳がん女性3,180名を対象に、カロリー削減と運動量の増加に焦点を当てた電話によるコーチングプログラムと健康教育資料を組み合わせた群と、健康教育資料のみを提供された群に無作為に割り付けた。
この研究の第一の目的は、減量プログラムによってがん再発リスクが低下するかどうかを明らかにすることであり、第二の目的は、減量プログラムによって、乳がんサバイバーの運動量を増やし、より健康的な食事を摂るのに役立つかどうかを評価することである。
本研究は、541名のBWEL研究参加者を対象に、運動パターンを経時的に評価するサブスタディにおいて、参加者の運動の変化を調査したものである。
患者の半数は減量プログラムと教育プログラムに参加し、残りの半数は健康教育資料のみが提供された。
試験登録時、両群の患者はほとんど運動をしておらず、健康教育群では運動時間の中央値が週0分、減量群では運動時間の中央値が週10分であった。
登録から6カ月が経過した時点で、減量プログラムを受けた女性は、1週間の運動時間が中央値で40分増加したが、教育群の女性はまったく増加しなかった。
さらに、減量プログラムに参加した女性は、教育のみを受けた群の女性と比較すると、多くの健康上の利益につながる少なくとも週150分以上の運動を行う可能性が高く、まったく運動していないと報告する可能性が低かった。
研究に参加したすべての患者において、週に少なくとも150分の中等度または強度の運動を行った患者は、運動を行わなかった患者に比べて、より大幅な体重減少がみられた。
本研究の筆頭著者であり、Dana-FarberのLeonard P. Zakim Centre for Integrative Therapies and Healthy Living所長であるJennifer Ligibel博士(MD)は、「我々の結果は、電話による減量介入プログラムによって、この患者群に対してより多くの運動の動機付けとなり得ることを示している」と述べている。
「運動の変化ががんの予後に影響を与えるかどうかを明らかにするために、これらの患者の追跡調査を継続する」
(2024年9月15日公開)