ニュース
22 Oct 2024
Yale School of MedicineのYale Cancer Centre researchersの研究者らが、Nature Genetics誌に発表した研究によると、より悪性度の高い進行がんでは特定の種類のDNA(染色体外DNAまたはecDNA)の濃度が高く、将来の治療標的となる可能性があることが判明した。
研究者らは、The Cancer Genome Atlas、International Cancer Genomics Consortium、Hartwig Medical Foundation、およびGlioma Longitudinal Analysis Consortiumから入手可能なデータを用いて、新たに診断された未治療の腫瘍と化学療法、放射線療法などの以前に治療を受けた腫瘍に分けて、8,000を超える腫瘍サンプルを検討した。
その結果、治療歴のある患者の腫瘍ではecDNAの量が有意に多いことが判明し、これらの腫瘍ではecDNAが生存に有利に働いているのではないかという仮説が導かれた。
「われわれの研究は、ecDNAが腫瘍の攻撃性を高めることを示唆している」と、論文の主著者で、Yale School of MedicineのHarvey and Kate Cushing Professor of Neurosurgeryであり、Yale Cancer CentreのメンバーであるRoel Verhaak氏は述べた。
「ecDNAには明確なメカニズムがあり、乳がんや肺がんだけでなく、多くのがん種で重要な役割を果たしている」
この研究では、ecDNAは多くのがん種の治療に使用されるドセタキセルやパクリタキセルなどのタキサンベースの治療後に多く検出されることが分かった。
研究者らはまた、同じがんを長期的に観察したところ、通常の染色体上のDNA変化よりもecDNAの方がより定着しやすいことにも気づいた。
研究対象となった進行がんでは、ecDNAは急激な変異を起こしやすい傾向があった。
研究者らは、これらの「超変異」は時間の経過とともにがんが非常に悪性化し、治療が困難になる理由のひとつである可能性があると述べている。
ecDNAの変異は、がん細胞が正常な細胞よりも適応し、生き残るのを助ける可能性がある。
この研究がより良いがん治療の開発に役立つことが期待されている。
「研究室では、薬剤ライブラリーを使用して、ecDNAを含む細胞を特異的に標的とする薬剤を探求している」とVerhaak氏は述べている。
「ecDNAを標的とする治療法は、全がん患者の3分の1にも利益をもたらす可能性があるため、ecDNAを有する腫瘍の脆弱性を見つけたいと考えている」
Verhaak氏によれば、腫瘍のecDNAを特異的に標的とする治療法を含む臨床試験が進行中であるという。
Yale Cancer CentreのKevin Johnson氏は、この研究の共著者としてVerhaak氏の研究に加わった。
Soyeon Kim氏と、Verhaak研究室の元ポスドク研修生で、現在は韓国ソウルのSungkyunkwan Universityの教授であるHoon Kim氏も、同様にこのプロジェクトに貢献した。
2024年10月17日公開
https://ecancer.org/en/news/25526-specific-type-of-dna-could-be-a-target-of-future-cancer-therapies