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23 Oct 2024
University of Texas MD Anderson Cancer Centerの研究者らが主導した新たな研究によると、ハロペリドールとロラゼパムの併用療法は、ハロペリドール単独療法に比べ、進行がん患者の終末期によく見られる激越性のせん妄の症状が軽減した。
この研究結果は、2024 European Society for Medical Oncology (ESMO) Congressで発表された。
激越性のせん妄は、がんの進行に伴い患者の脳機能が低下し始めると生じ、その結果、多くの患者が攻撃的または異常な行動を示すようになる。
この状況での薬物療法の使用については議論されているが、これらの結果は、個別化された併用療法が終末期患者の症状を有意に改善できることを示唆している。
「進行したせん妄は、緩和ケアを受けている進行がん患者の多くによく見られ、強い苦痛を伴うが、この症状に対する治療方法と有効性に関するエビデンスは限られている」と、主任研究員でPalliative, Rehabilitation & Integrative Medicineの教授David Hui博士(MD)は述べた。
「RECORD試験は、患者にさらなる快適さを与えるために、緩和ケアにおける治療方法を支持する貴重なデータと洞察を提供している」
ハロペリドールとロラゼパムの併用投与を受けた患者は、24時間後に標準的な評価尺度を用いて測定したところ、激越性のせん妄が大幅に減少した。
同期間内に、この群では、2回以上のレスキュー投与または必要に応じた追加の薬剤投与を必要としなかった。
研究者らはまた、ロラゼパム単独で治療した患者において激越性のせん妄の大幅な減少を観察したが、これらの患者はより多くのレスキュー投与を必要とした。
プラセボ群ではせん妄の軽減はほとんど見られず、場合によっては、患者は5 回のレスキュー投与を必要とした。
この多施設共同試験では、複数のがん種にわたる成人患者75名を対象に治療を評価した。
患者は、盲検下で併用療法、ロラゼパム単独療法、またはプラセボ療法を4時間ごとに静脈内投与された。
この研究で観察された有害事象は予想されたものであり、終末期の過程と一致していた。
「この苦痛を伴う症状の治療を積極的に個別化することで、我々は介護者、家族、患者に残された時間の中で有意義なつながりを築く機会を提供している」とHui氏は述べた。
本試験はNational Cancer Institute(R01CA214960)の資金援助を受けている。
(2024年9月15日公開)