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11 Nov 2024
新たな研究により、高濃度のメチルマロン酸とCD8+T細胞の弱体化との驚くべき関連が示され、加齢が肺がんの進行を促進する可能性のある経路に光が当てられた。
Moffitt Cancer Centerの研究者らは、加齢に伴う代謝変化が腫瘍に対する免疫反応に及ぼす影響について新たな知見を得た。
Oncogene誌に掲載されたこの研究は、メチルマロン酸の増加が、がんと闘う上で重要な役割を果たす免疫細胞であるCD8+T細胞の活性化とエフェクター機能がどのように弱まるかを調べたものである。
健康な人ではメチルマロン酸の濃度は通常低い。
濃度の上昇は加齢およびビタミンB12欠乏症と関連しており、がん生物学におけるビタミンB12の役割について疑問が生じている。
「我々の研究は、メチルマロン酸が加齢とともに増加するだけでなく、CD8+T細胞のエネルギー産生を阻害することでCD8+T細胞を弱体化させることも示している」と、本研究の筆頭著者であり、Molecular Oncology Department at Moffittの主任研究員であるAna Gomes博士は述べた。
「このことは、免疫系ががんと闘うことが難しくなり、メチルマロン酸を標的にすることでがん治療の改善に役立つ可能性があることを示唆している」
研究者らは、メチルマロン酸の治療が、腫瘍に対する免疫反応の重要な構成要素であるCD 8+T細胞の活性を大幅に低下させることを発見した。
この研究結果は、メチルマロン酸がこれらの細胞の遺伝子発現全体に影響を与え、免疫活性化と代謝に関与する重要な経路のダウンレギュレーションにつながることを示している。
本研究はまた、メチルマロン酸が腫瘍の微小環境を歪め、T細胞だけでなく他の免疫細胞にも影響を与え、腫瘍の増殖と転移により有利な環境をもたらす可能性があることも強調している。
これらの知見は、メチルマロン酸濃度を低下させるか、CD8+T細胞に対するメチルマロン酸の作用を打ち消すことを目的とした戦略が、特に肺がんリスクが高い高齢患者において抗腫瘍免疫を増強する可能性があることを示唆している。
(2024年11月1日公開)