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29 Nov 2024
University of Rochester(UR)の研究チームは、従来の方法よりも簡単かつ迅速で、より多くの情報量を提供できるように設計された“リキッドバイオプシー”によるがん細胞検出の新たな方法を報告している。
リキッドバイオプシーとは何か
それは、血液、尿、その他の体液を媒体として、がん細胞や腫瘍から放出される分子を検出する非侵襲的検査である。
リキッドバイオプシーにより、がんの検出やスクリーニング、がんの進行やがん治療に対する身体の反応のモニタリングが可能である。
URのWilliam R. Kenan Jr. Biomedical Engineering教授で、Wilmot Cancer Instituteの研究チームのメンバーでもあるJames McGrath博士は、細胞外小胞(EV)と呼ばれる細胞を構成する物質(遺伝子とタンパク質)を収集するツールの開発を目的とした共同研究を主導した。
EVを選択し分析することで、体内の疾患に関する貴重な情報が得られる。
この分野には期待感や長年の可能性があるにもかかわらず、EV内の“bioactive cargo”を分析し、正確な生検ツールを開発する最適な方法に問題が集中していた。
研究者らは、従来の方法はコストがかかり複雑で、複数のバイオマーカーを同時に分析できないため、制限が多すぎると述べている。
URの画像ベースのツールはデジタル的アプローチを採用しており、数十万個のEVを選別する際に高い感度を示すことが初期の研究で証明されている。
研究者らは、この技術により、より早期かつ治癒可能な段階でがんを検出し、がんの転移や免疫系の疾患に反応する仕組みに関与するEVの機能の解明が可能であると述べている。
彼らの研究は、ナノ科学とナノテクノロジーに関する雑誌Small誌で発表されており、筆頭著者はbiomedical engineeringの学生であるSamuel Walker氏である。
さらに、泌尿器科助教のJonathan Flax医学博士と、Wilmotの外科准教授でがん研究者でもあるScott Gerber博士は、免疫療法ががんに対して有効であるかを検出するためのEVベースのバイオマーカーを発見するために共同研究を行っている。
今後の計画には、治療に基づく臨床試験の結果を導くために臨床研究でこの新たなツールを使用することも含まれている、とMcGrath氏は述べた。
(2024年11月4日公開)