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06 Dec 2024
新たな研究により、がん細胞が免疫システムから逃れ、治療効果が出難くなる意外な方法が明らかになった。
Cancer Cell誌に掲載されたこの研究では、ある種のがん細胞死が、がんと闘う免疫システムの機能を停止させることによって、実際にどのように腫瘍の増殖を加速させるかを説明している。
Moffitt Cancer Centreの研究者らは、ネクロプトーシスと呼ばれる細胞死の形態に注目した。
以前は、免疫システムががんと闘うのを助けると考えられていたが、研究者らは、がん細胞がこの方法で死滅すると、インターロイキン-1αと呼ばれる分子を放出することを発見した。
この分子は腫瘍内に免疫反応を弱める環境を作り、T細胞ががんを攻撃するのを妨げる。
「ネクロプトーシスは免疫システムががんと闘うのを助けると思っていたが、その代わりに腫瘍の増殖を助けて状態を悪化させているようだ」と、MoffittのImmuno-Oncology Programmeのassociate memberで、本研究の筆頭著者であるBrian Ruffell博士は述べた。
「われわれの研究は、インターロイキン-1αがこのプロセスの鍵を握っていることを示しており、これをブロックすることによって、免疫システムが機能するのを助けることができるかもしれない」
本研究では、インターロイキン-1αが化学療法に反応してがん細胞から放出されることも判明しており、これにより一部の治療法が期待どおりに効果を発揮しない理由が説明できるかもしれない。
しかし、朗報もある。研究者らは動物モデルを使った実験で、インターロイキン-1αを阻害することで免疫反応を改善し、化学療法や免疫療法などのがん治療をより効果的に行うことができた。
「インターロイキン-1αの作用を阻害することで、現在のがん治療をより成功に近づけることができる」とRuffell氏は述べる。
「さらに、インターロイキン-1αを標的とすることで化学療法に伴う毒性を軽減することができるため、このアプローチは患者の治療への反応や忍容性の向上に役立つ可能性がある」
また、特に化学療法を受けている患者では、インターロイキン-1αのレベルが低いほど良好な予後が得られることも発見した。
このことは、インターロイキン-1αが、患者によってがん治療がどの程度効果があるかを予測するマーカーとして利用できる可能性があることを示唆している。
【2024年11月27日公開】