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06 Dec 2024
USC Norris Comprehensive Cancer Center(Keck Medicine of USCの一部)がJAMA Network Open 誌に発表した新たな研究によると、全てのがん生存者のうち、青年期および若年成人(AYA世代)の男性は、自殺による死亡率が最も高いことが示唆された。
本研究では、AYA世代(15~39歳)の男性がん生存者群における自殺死亡者数が、21年間の調査期間中に3倍に増加したことも報告されている。
2021年には、この集団の死亡者65名のうち1名が自殺によるものだった。
他のがん生存者群でも自殺死亡者は増加しているが、若年男性と他の集団との自殺率の差は時間の経過とともに著しく拡大した。
American Cancer SocietyとNational Comprehensive Cancer Networkによると、がんは若者層の間でよく見られがん生存者は不安、うつ病、自殺願望と闘う可能性が高い。
この研究は、AYA世代のがん患者の男女別自殺率を調査した最初の研究のひとつで、この集団における自殺率の上昇は憂慮すべきものであると指摘した。
研究者らは、National Cancer InstituteのSurveillance, Epidemiology and End Results Programのデータを用い、2000~2021年の間のがん生存者のうち約450万人の死亡を評価した。
がん生存者とは、疾患の経過がどの段階であっても、がんと診断されたことがある人と定義された。
次に、データを15〜39歳、40〜59歳、60歳以上の3つの年齢層に分け、さらに各群を男性と女性に分けた。
2000年の調査では、AYA世代の男性がん患者の死亡者1,000名あたり4.9名が自殺によるもので、他のすべての年齢/性別のがん患者群の自殺率は、死亡者1,000名あたり0.4~3.1名の範囲であった。
約20年後の2021年、AYA世代の男性がん患者の自殺死亡者数は1,000名あたり15.4名に急増した。
他のすべての年齢/性別のがん患者群の自殺死亡率も増加したが、AYA世代の男性がん患者の自殺死亡率よりもはるかに低く、死亡者1,000名あたり0.6~7.4名の範囲であった。
他の調査結果で、研究者らは、甲状腺がん、精巣がん、メラノーマの3つがAYA世代の男性がん患者の自殺につながる最も一般的ながん診断であることを突き止めた。
American Cancer Societyによると、これら3つのがんは、5年生存率が最も高いがんの1つである。
研究者らは、がん診断前の精神的健康状態、自殺の理由や方法、患者のがんの予後、死亡時のがんの状態(疾患の再発や寛解)など、患者に関するいくつかの情報にアクセスできなかった。
しかし、これらの限界にもかかわらず、本研究結果は、AYA世代の患者、特に男性の自殺率に焦点を当てたことは注目に値すると本研究の著者らは考えている。
彼らはAYA世代のがん患者に、この傾向を逆転させる可能性がある、より長期的な支援やリソースを提供することを推奨している。
(2024年11月19日公開)