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e-cancer:卵巣がん AIは卵巣がんの診断を改善する可能性がある

14 Jan 2025

Karolinska Institutet(スウェーデン)の研究者らが主導した新たな国際研究によると、超音波画像から卵巣がんを識別する際に、AIベースのモデルは人間の専門家よりも優れていることが示された。

本研究はNature Medicine誌に発表された。

「卵巣腫瘍はよく見られ、偶然発見されることが多い」と、Karolinska InstitutetのSödersjukhuset (Stockholm South General Hospital)臨床科学教育学部教授で、同病院産婦人科のシニアコンサルタントElisabeth Epstein氏は述べる。

「世界の多くの地域で、超音波の専門家不足は深刻であり、不必要な介入やがんの診断の遅れが懸念されている。そこで我々は、AIが人間の専門家を補完できるのかを解明したいと考えた」

 

AIは専門家よりも優れている

研究者らは、卵巣病変の良性と悪性の識別が可能なニューラルネットワークモデルを開発および検証し、8カ国20病院の患者3,652名から採取した17,000枚を超える超音波画像でAIを訓練しテストした。

その後、モデルの診断能力を、大規模な専門家グループと経験の浅い超音波の検査グループで比較した。

その結果、AIモデルは卵巣がんの識別において専門および非専門の両方の検査者を上回り、86.3%の精度率を達成したのに対し、専門および非専門の検査者はそれぞれ82.6%と77.7%であったことが示された。

「これは、ニューラルネットワークモデルが卵巣がんの診断、特に診断が困難な症例や超音波の専門家が不足している状況において、貴重なサポートを提供できることを示唆している」とEpstein教授は述べる。

 

専門家紹介の必要性を減らす

AIモデルは、専門家紹介の必要性も減らすことができる。

シュミレーションによるトリアージの状況では、AIサポートにより、紹介件数が63%、誤診率が18%削減された。

これにより、卵巣病変のある患者に対してより迅速で費用対効果の高い治療が可能になる。

有望な結果にもかかわらず、研究者らは、ニューラルネットワークモデルの可能性を最大限に引き出し、その臨床的限界が十分に理解されるには、さらなる研究が必要であると強調している。

「継続的な研究開発により、AIベースのツールは、専門家の負担を軽減し、病院のリソースを最適化する、明日の医療の不可欠な要素となり得るが、さまざまな臨床環境や患者群に適応できることを確認する必要がある」と、Karolinska InstitutetのEpstein教授の研究グループの博士課程学生で、KTH Royal Institutet of TechnologyのEmir Konuk氏と共同筆頭著者であるFilip Christiansen氏は述べる。

 

AIサポートの安全性評価

研究者らは現在、Södersjukhusetで前向き臨床研究を実施し、AIツールの日常臨床における安全性と有用性を評価している。

今後の研究では、多施設無作為化臨床試験を実施し、患者管理と医療費への影響を調べる予定である。

本研究は、KTH Royal Institutet of Technologyの研究者と緊密に協力して実施され、Swedish Research Council、Swedish Cancer Society、Stockholm Regional Council、Cancer Research Funds of Radiumhemmet、Wallenberg AI, Autonomous Systems and Software Program (WASP)からの助成金により資金提供された。

Elisabeth Epstein氏、Filip Christiansen氏および共著者3名は、Intelligyn社を通じてコン​​ピュータ支援診断法に関する特許を申請した。

Elisabeth Epstein氏、Filip Christiansen氏、そしてKTH Royal Institutet of Technologyの研究員Kevin Smith氏もIntelligyn社の株式を所有しており、Epstein教授は同社で無給のマネジャーを務めている。

 

利益相反の全リストについては論文を参照のこと。

 

https://ecancer.org/en/news/25844-ai-can-improve-ovarian-cancer-diagnoses

(2025年1月3日公開)

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