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30 Apr 2025
Moffitt Cancer Centerの研究者らによる新研究によると、ニトロシル化と呼ばれる化学プロセスを阻害することで、最も侵攻性の高いメラノーマのひとつの治療がより容易になる可能性がある。
Cancer Research誌に発表されたこの研究は、メラノーマ症例の約25%を占めるNRAS変異型メラノーマに焦点を当てたものである。
これらのがんは治療が難しく、免疫療法や分子標的薬などの現在の治療法が効かないことが多い。
研究者らは、ニトロシル化が阻害されると、がん細胞が腫瘍の成長に関与するMEK-ERK経路を標的とする薬剤の一種であるMEK阻害剤に対する感受性が高まることを発見した。
ニトロシル化阻害剤とMEK阻害剤の併用により、研究室での実験および動物モデルにおいて腫瘍の成長が遅くなった。
「本研究は、ニトロシル化により、がん細胞が治療を逃れ、免疫システムを回避するのに役立つことを示している」と、Moffittの腫瘍微小環境・転移部門の助手であり、この研究の共同筆頭著者であるSanjay Premi博士は述べた。
「それを阻害すると、がんの防御力が弱まり、がん細胞が死滅し、免疫システムが腫瘍を攻撃するのを助ける」
ニトロシル化を阻害すると、免疫原性細胞死(腫瘍細胞が遭難信号を放出するプロセス)が引き起こされることが判明した。
これらのシグナルは、CD8陽性T細胞や樹状細胞などの免疫細胞を引き寄せ、がんを破壊するのに役立つ。
「この方法は腫瘍増殖を抑えるだけでなく、体内の抗がん免疫反応を高めることができる」と、共同筆頭著者で Moffittの上級研究員であるJyoti Srivastava博士は述べた。
「現在治療の選択肢が限られている患者にとって、より持続的な反応につながる可能性がある」
この研究結果は、有効な治療法がほとんどないNRAS変異型メラノーマ患者に新たな道をもたらす可能性がある。
研究者らは、この結果は、メラノーマおよび潜在的には他のがんに対する併用療法の一環としてニトロシル化阻害剤のさらなる研究を支持すると述べている。
この研究は、Miles for Moffitt、Moffitt’s Molecular Medicine Programme, Donald A. Adam Melanoma and Skin Cancer Centre of Excellence(Moffitt)、National Institutes of Health (R21ES035196)からのパイロット資金による支援を受けた。
(2025年4月29日公開)