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07 May 2025
American Physical Therapy Association(APTA)のアカデミーである APTA Oncologyの公式ジャーナルRehabilitation Oncology誌に発表された研究によると、巻尺から高度な画像診断技術に至るまでの様々な検査で、乳がん関連リンパ浮腫(BRCL)の診断における一致度は、低~中程度であることが報告されている。
同誌は、Wolters KluwerのLippincott portfolioから刊行されている。
「長年にわたり、BRCLの標準化された評価法がないことが、研究および臨床診療における障害として認識されてきた」とMassachusetts General Hospitalの筆頭著者であるCheryl L.Brunelle氏(PT, MS, CCS, CLT)は述べる。
「我々の研究結果は、この合併症を認識するための各種検査間の一致度が容認できないほど低く、標準化された診断基準を確立することが緊急に必要であることを浮き彫りにしている」
リンパ浮腫の診断検査に「ゴールドスタンダード」は存在しない
乳がん関連リンパ浮腫は、乳がん手術およびリンパ節照射の後遺症であり、手術を行った側の体幹部、乳房、または上肢に生じる不快な腫れを特徴とする。
BRCLに対する効果的な治療を可能にするためには、早期かつ正確な診断が必要である。
様々な検査や診断基準が用いられてきたが、リンパ浮腫患者を特定するための「ゴールドスタンダード」となる検査はまだ存在しない。
著者らの病院では、乳房およびリンパ節の手術を受ける女性に対し、手術前後に腕の体積を測定するなどの定期的なリンパ浮腫スクリーニングを導入している。
新たな研究では、研究者らはリンパ浮腫に対する異なる検査と診断基準の性能を比較した。
検査には、巻尺を用いて評価された腕の体積の相対的および絶対的な差異が含まれており、治療側と未治療側の比較、赤外線を用いた光電子四肢体積測定法との比較が行われた。
研究者らはまた、細胞外液量を評価するために、ごく微弱な電流を用いる生体インピーダンス分光法(BIS)も使用した。
BRCL検査間の「臨床的に容認できない」差異
研究対象となった患者57名のうち21名が、乳房手術前から相対体積変化(RVC)が10%増加したことに基づき、BCRLと診断された。
BCRLを有する参加者が積極的に組み入れられたため、このような高い発症率は予想されていた。
術前のベースライン測定値がBCRL診断に組み入れられていたか否かに関わらず、診断の一致度は「不良かつ有意ではない」ものであった。
RVCと光電子四肢体積測定、あるいは様々な診断カットオフ値を評価した他の比較においても、一致度は「統計的に見てせいぜい中程度」であった。Brunelle氏と共著者は次のように記している。「異なる診断閾値を用いた場合、診断の不一致が40~60%生じるため、臨床的にこれは容認できない」
検査の性能は、リンパ浮腫の身体的徴候や症状、特に腕の腫れや「重だるさ」の感覚の有無によって異なっていたが、「重だるさや腫れを報告した参加者全員が、BCRLの診断基準を満たしていた」と研究者らは記している。
研究者らは、BRCLの診断には、患者が報告した症状と臨床所見を取り入れるべきだと考えている。
「乳がん治療後にBCRLと診断される女性の割合は、用いられる測定ツールや診断基準によって著しく異なる」と、Brunelle氏と共著者らは結論づけている。
同氏らは、術前のベースライン測定値の統合など、BRCL診断の標準化されたガイドラインを策定するための厳密に設計された研究の必要性を強調している。
(2025年4月16日公開)