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11 Jun 2025
国際共同臨床試験の結果から、14遺伝子の分子アッセイが、術後補助化学療法が有効である可能性のある早期の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者を特定するのに有用であることが示された。
本研究は、5月30日~6月3日にシカゴで開催された2025 American Society of Clinical Oncology (ASCO) Annual Meetingにて発表された。
「本試験は、14遺伝子の分子アッセイを用いて、通常では術後補助化学療法の対象とはならないステージIA~IIAの非扁平上皮NSCLCの高リスク群の患者において、術後補助化学療法の有効性が期待できる患者を特定できることを示した、初の大規模前向き無作為化試験である」と、筆頭著者であり、Sarah Cannon Research Institute(テネシー州、ナッシュビル)のDavid Spigel医師(MD, FASCO)は述べた。
この試験では、腫瘍摘出術を受けたステージIA~IIAの非扁平上皮NSCLC患者421名が登録された。これらの腫瘍はRiskRevealアッセイと呼ばれる14遺伝子のアッセイで検査され、低リスク、中等リスク、高リスクに分類された。
この中間解析の時点で、評価可能な中等リスクおよび高リスク患者は194名であった。中等リスクおよび高リスクに分類された患者は、プラチナ製剤ベースの術後補助化学療法を4サイクル受ける群(87例)と経過観察群(107例)に無作為に割り付けられた。
その後、研究者らは両群におけるがん再発までの期間を比較した。両群の約55%がステージIAのNSCLC患者であり、両群の人口統計学的特徴は類似していた。
主な研究結果
● 24ヵ月後、術後補助化学療法群は、経過観察群と比較してがんの再発リスクが78%低下した。
● 術後補助化学療法群では、患者の96%でがんの再発が認められなかった。経過観察群では、患者の79%で再発が認められなかった。
● 本試験の評価項目である無病生存期間の中央値は両群ともに未到達であり、これは両群ともに半数以上の患者が再発を経験しなかったことを意味している。
● 中間解析の時点で、データ安全性モニタリング委員会は、本アッセイが、術後補助化学療法の有効性が期待できる患者を高い精度で特定したことから、臨床試験への新規患者の登録を中止するよう勧告した。すでに登録されている患者については、追跡調査が継続されている。
研究者らは、この試験にすでに登録されている患者の追跡調査を継続し、標的療法と免疫療法の進展がNSCLCのより早期のステージにどのように適用できるかを検討する予定である。
「本研究は、有望な前向き無作為化試験の中間結果として、14遺伝子の分子アッセイにより高リスクと判定されたステージIA~IIAのNSCLC患者における術後補助化学療法の役割を評価したものであり、バイオマーカーに基づくより精密な治療選択への道を拓くものである」と、University of PennsylvaniaのAbramson Cancer CenterのLeslye M Heisler Professor for Lung Cancer Excellenceであり、ASCO肺がん専門家であるCharu Aggarwal医師(MD, MPH, FASCO)は述べた。
(2025年5月31日公開)